Jリーグと育児休暇

新聞の切り抜きを整理をしていたら、

サッカー女子 「育児費リーグで支援を」

という記事が出てきた。

今年の1月15日の朝日新聞の社説でスポーツ部清水寿之記者の記事だった。


内容はなでしこリーグで元日本代表宮本ともみさんについてだった。
99年のアメリカW杯で宿舎にベビーカーを押しながら入ってくる米国代表を見て驚いた彼女は、
結婚し05年に子供を産んでからも現役に復帰し、再び代表入りする。




その裏で実は合宿時のベビーシッター費や同行する母親の渡航費などをサッカー協会が特別に負担したそうだ。
その後協会は08年から
なでしこジャパン育児サポート制度」
をスタートしているものの、未だに利用者はゼロだそうだ。


ちなみに興味深いのは、これは協会の代表選手へのサポート支援プログラムのようで、
実際にもっと需要があってもよさそうな
なでしこリーグにはこのような制度は存在しないそうだ。
理由は、「現時点で必要としている選手がいない」からだそうだが、本当だろうか?
前例がほとんどないから言い出せないだけではないだろうか?


さて、他競技に目を向けると柔道の谷亮子、バレーボールの大友愛やスビードスケートの岡崎朋美選手のように、
トップレベルの選手には例がいくつかあるものの、
全体に広がっている感はない。


こういった制度が普及するにはどうするのがいいのだろうか?
ひょっとすると男子から変わる必要があるのではないだろうか?


アメリカ大リーグではそれこそ2年前の2011年から制度化され、
その取得者第1号は、
広島カープでもプレーしたルイス投手!




この制度により選手は出産に際して最大72時間家族と過ごす権利がある。


では日本のプロスポーツはどうだろうか?
今のところこういった制度は聞かない。
むしろ犠牲にしてまでチームと共に戦ったという美談の方が語られる印象が強い。
しかしプレイオフや決勝戦ならともかく、リーグ戦の1の試合だとするとどうなのだろうか?
チームの主力とスタメンや1軍当落線上の選手では事情が違うだろう。
チームの環境や指導者の方針によっても違うだろう。

海外ではManUのファーガソンとルーニーが悩んだ例もあれば、
メッシのように練習を免除された例などあるように、
ごく普通に選択肢として議論されるレベルにはある。
しかし日本では議論にすらならないだろう。
試合優先、以上!といったところだろうか?


しかし、そろそろこういった事が議論される時代だという認識は各団体にあるのだろうか?
備えあれば憂いなし。
各競技団体は少しずつ認識を深めていく時期かもしれない。
まずはJリーグに期待したところだ。


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ガンバ大阪が示す地方巡業の当たり前な鉄則

今年からJ2に参戦しているガンバ大阪の集客力がハンパない。




ガンバ大阪効果でJ2観客動員が好調

そもそもがJ2にいてはいけないチームがいるのだから、それだけでも話題になる。
日本代表の中心MF遠藤、そしてDF今野、日本人が好きなパスサッカーのチームカラーも興味を引く要因だろう。
ここで思う事、そう地方巡業って強いから成り立つのだ。
スターがいるから成り立つのだ。
スターがいない、知名度がない、強くないチームが全国を廻っても効果がないのだ。
この場合強いの定義は世界的にみて強いかどうか?
この1点に限る。

開幕10試合の観客動員数は全て1万人を超えている

1)長崎−G大阪(長崎)  1万8153人
(2)G大阪−京都(万博)  1万8041人
(3)山形−G大阪(NDスタ)1万7223人
(4)札幌−G大阪(札幌D) 1万7020人
(5)富山−G大阪(富山)  1万3639人
(6)千葉−札幌(フクダ)  1万3583人
(7)G大阪−横浜FC(万博)1万3476人
(8)札幌−栃木(札幌D)  1万3248人
(9)松本−熊本(松本)   1万2959人
(10)熊本−G大阪(うまスタ)1万1874人

ちなみにJ1の下位チームになると1万を超えるのがやっとのチームが多い事を考えると、
正直今年はJ2にいた方が観客動員が伸びたかもしれないと考えるチームもいるかもしれない。

地方巡業の元々の理由は、
普段見れない人たちに向けて実際の競技を見せて関心を高める事だろう。

しかしこれは改めて考えると、強い人の論理であるはずだ。
そして強いの定義は世界的に比べても強いかどうか?

この点で考えると、地表巡業で成功しているのはひょっとして
大相撲
プロ野球
そしてガンバ大阪だけかもしれない。


例えば地方巡業が多いラグビー

2012/09/09(日) 13:00Kick Off / 月寒 / 2200人

こちらパナソニックvsNTTコムの試合
世界的スター、ソニー・ビル・ウィリアムズがいるのにも関わらず
訪れた人は2200人。



続いてまたもやパナソニックの栃木でのサニックスとの試合
2012/09/16(日) 15:00Kick Off / 足利陸 / 2608人



こちらは山形で行われたNECvs NTTドコモの試合
2012/09/23(日) 15:00Kick Off / NDスタ / 1720人

NECには必見の重戦車トライゲッター、ナドロがいるのだが...


ガンバ大阪が示唆している事、
それは当たり前のことだが、地表巡業は強い人がいてこそ成り立つビジネスモデル。

そうでない場合は、地場にしっかり腰を下ろして固める事。
そう、ホームタウンを大事にせよ、ということ。


日本のバスケ協会、ラグビー協会、バレーボール協会が改めて認識してもらえると嬉しい。
地方を回るより、まずは強化せよ。
強くなってからでないと、地方でもお客は来ない。
ならば先に地元に密着して基盤を作って収益モデルを作ること。
これが大事だろう。
やはりスポーツという興行形態は勝利がついてこないと、人々の観戦動機にはつながらない。
こんな当たり前な事をガンバは伝えているのではないだろうか?
それを汲み取れているスポーツ関係者は何人いるだろうか?



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湘南ベルマーレについて考える

GWが終わります。
少し遅れてしまいましたが、5月3日にかねてから行きたかった湘南ベルマーレ戦に行ってきました!
ベルマーレvsセレッソ
悲願の昇格を果たしたチームと、海外への登竜門的クラブとして存在感を高めているチームの対戦。

いざ、Shonan BMWスタジアムへ!

サポーターのテンションも最高!

オレらは歌うのさ〜
湘南のために〜





GWということで、大阪からもたくさんのサポーター!



そして試合はスタジアムDJのセレッソへのリスペクトと派手な選手紹介で幕を開ける!



ここから開始15分くらいまではいいのだが、、、

湘南ベルマーレの戦術はイマイチはっきりしない。

DFを高い位置で並べて相手を押し込みたいのかと思えば、

足の速いDFがいない。ケガの遠藤航がいれば違うのだろうか?

ちなみに肉離れから長期離脱している遠藤航は将来の代表CB候補で見れなかったのはひたすら残念!

【J2 3月度MIP受賞インタビュー】遠藤航選手(湘南):「みんながチームのためにどうしたらいいかをほんとうに理解してやっている。それが結果に繋がっていると思う」(12.05.14)


もっとよくないのが攻撃陣。

プレーが軽い。ボールが収まらない。菊池、梶川、永木あたり。

テクニックはあるのだろうが、活かし方がわからない印象。

決定力のあるFWがいればこの辺りの問題を解消してくれる部分もあるのだろうが、それは日本全国の問題だからここで嘆いても仕方ない。

早くキリノ選手などの復帰を待つしかない。

しかしいずれにせよチームとして速攻がしたいのか、ポゼッションをしたいのかがはっきりしない。

DFのラインを上げる。ボールを奪う。速攻が下手。中途半端なポゼッションサッカーを披露する。ポジショニングが悪い。球を奪われる。奪われた時のポジショニングが悪いからディフェンスに速く切り替えられない。DFのラインの後ろを狙われる。アウトナンバーができる。つまり体力が奪われる。そして数的優位のまま得点される。


まとめるとこんな感じだろうか?

まだまともに1試合しか見ていないので、迂闊に結論を出すつもりはないが、そんな印象であった。

特に速攻がダメだった後のポジショニングの悪さはトレーニングでしっかりできていないのではないか?という印象だ。

下手なことは言えないが、現状ならMFのハン・クギョンの1トップが見たい感じだ。



さて私が湘南ベルマーレを応援したかったのは、チーム戦術をチェックしたかったからではない。
こちらの社長さん、真壁潔氏とチームの地域密着の総合型クラブの理念を少しでも垣間見たいことと、応援したい気持ちがあるからだ。



ここで簡単に湘南ベルマーレのおさらい。

元々はベルマーレ平塚としてJリーグに参加。

中田英寿、ロペス、名良橋、小島、岩本、反町、洪明甫など名選手を揃えた歴史があるものの、

1999年に親会社のフジタが撤退し、存続の危機に。





地元出身議員の河野太郎氏(監査役にも名を連ねている)などの要請で、地元の造園業の社長の真壁氏がクラブ経営に参加することとなる。

そして2002年にNPO法人湘南ベルマーレスポーツクラブ」を設立し、地域に根ざした総合型クラブとして邁進している。

ベルマーレはここでサッカーの他にソフトボール、サイクリング、ビーチバレー、トライアスロンなどのスポーツにも取り組んでいる。


その努力は観戦していてもとても感じる事ができ、試合の内容はともかく、美味しいカツサンドと共に観戦をとても楽しむことができた。



土地柄なのか、選手紹介や会場や応援のアットホームな雰囲気は素晴らしく、誰でもすぐに溶け込める温かさが湘南にはある。



さて今回の試合はGW真っ盛りにも関わらず、入場者数は10,947人。

正直寂しい数字だ。

湘南BMWスタジアムは牧歌的な古いスタジアムで雰囲気は良かった。

しかしここからがベルマーレの厳しいところ。

まずトラック。これがあるのはサッカー観戦には致命傷なのだが、やはり1万人前後の集客が妥当だとするならば、やはり近いに越した事はない。

ただ、味の素スタジアムなどと比べるとピッチはなぜかかなり近くに感じられた。


次にスタジアム自体の老朽化と構造の問題。

写真を見てもらえばわかるように、メインスタンド反対側の中央部分になんだかオブジェというのかモニュメントというのか、一番おいしい部分に観客席がない。

会場ではスタジアム立て替えの署名運動も行っていたが、財源確保はどうするのだろう?

そして普通ならば立地条件も悪いというふうになるのだが、ここは後ほど書くが、逆転の発想でプラスに転換できると思う。

さてスタジアム話を戻して。

まずはここのスタジアムにネーミングライツが売れただけでも営業努力というか奇跡だろう。

次に平塚の事情として、人口25万人の都市にJの基準を満たすスタジアムがあること自体が奇跡かもしれない。

そして平塚市はどうやらここ数年人口が減っていっているようだ。

隣駅の茅ヶ崎や辻堂にはモールやマンションがバンバン立っているが、ここの開発はあまり聞かない。

さらに厚木や海老名にも大学や開発が集まりだしているため、市として協力するのが厳しい現状のようだ。

クラブはそれを見越して平塚から湘南という冠にしたのかもしれない。

実際にセレッソ戦は「大磯・二宮町デー」とされており、大磯町と二宮町の町民は安く入場できたようだ。

これは地域を広くしていく戦略の表れだろう。

元々ベルマーレの経営規模は約6億円と浦和レッズの50億円強と比較するとかなり小さい。

その上市の協力が得られにくい、人口減など現実は厳しい。

それでもJリーグの「地域密着型総合クラブ」の理念をどこよりも推進している。

応援したいではないか!

ではどうやって湘南の広範囲の人に足を運んでもらえばいいだろうか?

私は現地に行って一つだけ小さな光が見えた気がする。

平塚市は土地柄陸の孤島のような場所が多く存在する。

東海道線平塚駅から広範囲に渡って住宅街が存在するが、地図をみてもらえばわかるが、なにせ周囲が東京23区のように電車網が発達しているわけではない。

そこでスタジアムで驚いたのは、とにかく自転車で来ている人が多い。

やたら多い。

チャリ通観客者は冗談抜きで何千単位ではないだろうか?

平塚総合公園内に駐輪している自転車を一度数えてみるとどれだけの数になるだろう?

こんなスタジアム、日本でも珍しいのではないだろうか?

これは駅から離れている立地条件の悪さの裏返しでもあるのだが、これが平塚市の生活スタイルなのだ。

なにせ自転車通学、自転車移動、自転車を使って遠くに行く事に慣れているのだ。

(もちろん車もバスもありますが)

これを有効活用できないだろうか?

これだけの自転車をベルマーレは宣伝車に使えないだろうか?

イメージはこのような感じだろうか?



人を巻き込むにはとにかく熱を伝えるのが一番効く。

しかし宣伝費がないベルマーレには、とにかく平塚市民にまず熱を伝え、そしてそこからさらに広範囲で移動している自転車ユーザーを利用して熱を伝えてもらうのがいいのではないだろうか?

サイクリングチームもあることだし、自転車メーカーのスポンサーがつくといいかもしれない。

親子ファンとしては電気自転車はありがたいだろうし、遠くに出かけるにはママチャリじゃ物足りない学生やファンも多いだろう。

やたらフラッグがついた自転車が走っていたら誰でも気になるはずだ。

立地条件を逆手に使った宣伝手法はどうだろうか?


でなければ、スポーツビジネスの王道である、「勝利」「収益」「普及」のトリプル効果を地道に続けなければならない。

スクールなどの活動から、ユースチームの強化→トップチームの強化、この流れが現在行っている普及活動と一緒に大きくなったら湘南に追い風が吹くのだろうが、それにはまだまだ時間がかかりそうだ。

湘南ベルマーレの魅力が平塚市への魅力となり、何か大きなムーブメントになることを願って、またスタジアムに足を運ぶこととしよう。

そして自転車につける旗はないけど地道に普及活動をすることとしよう。






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参照記事:平塚をどげんかせんといかん

関連記事:J 2020年基準 スタジアム増改築
関連記事:レアルの本拠地、サンティアゴ・ベルネバウに行ってきました!
関連記事:Jリーグ 芝生問題から見えるスタジアムビジネス問題
関連記事:書評:フットボールサミット 第5回 拝啓、浦和レッズ様 -ビッグクラブの迷走と再生-

レアル・マドリードの本拠地、サンティアゴ・ベルネバウに行ってきました!!!

レアル・マドリードの本拠地、サンティアゴ・ベルネバウに行ってきました!!!

といっても、少し時間は経ってしまっているのだが、2月後半に出張のわずかな空き時間を利用して突撃。



マドリードの中心からタクシーで走る事約10分、街の真ん中に突如現れるスタジアム。
近隣マンションに住んでいる人々は試合当日どうなるんだろう?という心配をよそに、
まずはチケットを買って突入!



順序はスタジアムの一番上から!


絶景です!

上からの眺めを満喫したら、その後はミュージアムへ!






ここがとにかくスゴイ!
まずは歴史がすごい。
きちんと過去のユニフォームからかつての名選手、ディ・ステファノの契約書から、映像、スパイク、トロフィーと何でも飾ってある。
とにかく歴史を大事にしており、その陳列の表現方法、ライトの当て具合、展示の見せ方がとにかく秀逸。
これは完全に日本のスポーツ界に抜けている部分であり、もっと各クラブがこのような取り組みに励んでもらいたい。
あまりに感極まって込み上げてくるものがあったほどだ。


クオリティのやたら高いミュージアムの次はどんどんピッチに近づく。


footbrainでも紹介された、1台約1000万円以上もするといわれる日照機がズラリ!
芝生を大事にしています!



そしてそこからはなんとロッカーへ!
こんなところまで入れるなんて!




そして最後は監督気分、もしくは記者気分で記者会見場へと!



会見場を抜けると最後はスタジアム内のアディダスショップで終点。
さすがはオフィシャル・スポンサー。
ただでは転ばない!


もっと詳細のフォトアルバムは、Facebook ページでチェック!

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さて私が参加したこのスタジアム・ツアー/博物館入場料収入でレアルマドリードはなんと、年間1050万ユーロ、日本円で約10億5000万もの売り上げを達成しているそうな...


参照文献


なぜレアルとバルサだけが儲かるのか?―サッカークラブ経営に魔法は存在しない

なぜレアルとバルサだけが儲かるのか?―サッカークラブ経営に魔法は存在しない



これ、J2のクラブの年間予算よりも大きかったりします... (詳しくはポッドキャストで聞いて下さい!

確かに平日の夕方だというのに、100人以上は有に見学していたので、入場料が2000円ちょっとだったことを考えるとあり得ない数字でもない。

日本の浦和レッズあたりも是非早急に見習って欲しいものだ。

歴史を大事にして、ファンに語り継がれやすいように展示していくこと、規模は小さくても少しは出来るはずだ。


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関連記事:Jリーグ 芝生問題から見えるスタジアムビジネス問題
関連記事:スタジアムに必要なもの
関連まとめ:行ってないけど楽しんでみた、あの有名なスタジアムツアー!
関連記事:J 2020年基準 スタジアム増改築
参考記事:またしても勃発した味スタの芝問題。J1のスタジアムとしてこれで良いの?

毎年話題になり、毎年改善されない甲子園の連投問題


毎年話題になるものの、全く改善されない問題。
日本の政治。
花粉。
それに甲子園球児の球数問題。


春と夏に毎回問題として取り上げられながらも、
毎年一向に解決されないこの問題は、
今年ネットではいつも以上に話題になった。

乙武氏のTwitterから端を発し、ダルビッシュの登場で加熱し、
おそらく今まで多くの興味なかった人も巻き込んで議論が交わされた。


済美・安楽投手の連投に思うこと


けれど高野連は日本の政治と体質がほぼ同じだというニオイが人々にはプンプンするし、
柔道界のように何かセンセーショナルなことがない限り改善されない空気感が漂っている。


思うがままに書き綴ってみたい。
問題の1
高校野球、いやそれ以前に高校の部活動の理念が定まっていない。
地域密着型スポーツクラブと部活の未来 3(理念編)

問題の2
体についての基礎知識、及びトレーニングに対する基礎知識、そして医療を含めたコンディショニングの基礎知識不足。
地域密着型スポーツクラブと部活の未来5(指導者編2)


問題の3
スケジュール
2で指摘した知識があれば、普通この日程は組まない。
組んだとしてもWBCのように球数制限を設ける事が現在の医学上では求められる

問題の4
開催場所、甲子園
スケジュールを伸ばすことを考慮した場合、プロチームが活動する本拠地を開催場所に選ぶ事は現実的ではない。
単純に阪神タイガースにとって、たださえ不利なのに、余計に不利な条件となる。


問題の5
燃え尽きる対象の少なさ、多様性の欠如
高校野球では、大人が感動という美学のもとに、純粋な学生に夢を売る。
頑張れば君はできると。
でも誰しもがダルビッシュになれる訳ではない。
プロになる確立は宝くじを当てるようなものだ。
そんな確立の低い夢に、大人は学校教育の貴重な時間を将来に役立てるスキルを与えるでもなく、夢を売る。


しかし、頑張れば一流のデータアナリストになれるかもしれない。
一流のグラウンドキーパーになれるかもしれない。
一流のマネージャー、一流の広報、一流のトレーナー、一流の通訳。
高校野球が提供できる夢はもっと多いのではないだろうか?

ポッドキャストスポマンJAPAN!「小島克典さんと語るスポーツの多様性」


こんなところだろうか。
では解決策。


ダルビッシュ投手もTwitterで述べたが、いっその事甲子園から開催場所を移す事は一つの有効な手段だろう。
彼も歴史が邪魔して難しいと述べているが、
ここは東北に移すのがいいのではないだろうか?
福島、宮城、岩手と巡回したいところだが、楽天のスケジュールの兼ね合いが難しい。
福島、岩手の巡回だとフェアではなくなってしまう。


しかし歴史に勝るとしたらここしかないだろう。
多くの学校と多くの応援が駆けつける事で地方経済活性化にもなるし、
スポーツの普及にもなるだろう。
そうなってくると、国体みたいに、甲子園も各県を巡回するのがいいのではないか?と考えてしまう。
そもそも甲子園でやらなくてはならない理由があるとすれば、
それは新聞社の都合であったはずで、
他に「歴史」ということ以外思い浮かばない。


しかし開催場所とスケジュールだけ解決しても、そもそもの大会に対する考え方が変わらない限り、
あまり改善はされないだろう。
ではどうすればいいか?
知恵や知識のあるアスリートが増え、球界の中枢に入る事、これしかないのではないだろうか?
アスリートも引退後はどんどん勉強し、どんどん協会や高野連NPBに入り、どんどん球界を良くする。
これしか道はないのだろうか?
だからこそ桑田真澄に期待が寄せられるのではないだろうか?
野球界が今こそ提唱すべきは、ありきたりな「文武両道」という言葉かもしれない。


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関連記事:トミー・ジョンと彼を有名にした手術

 医学部とスポーツと新規ビジネス

今朝の朝日新聞の朝刊一面によると、
日本には2800万人もの腰痛持ちがいるそうだ。
本当なら国民の3人に1人ということになる。
そのうち8割が原因不明。



このデータこそが日本の医学、
特にスポーツや整形外科分野からはじまる体の仕組みの部分についての
遅れを示しているような気がしてならない。


近年ドイツなどもサッカー選手、陸上のボルト選手、NBAコービー・ブライアント選手などが訪れることでにわかに脚光を浴びているものの、
やはりスポーツ医学大国といえば、アメリカだろう。
アメリカのスポーツ医学の発展の歴史は、簡単に言えばアメフトの人気と訴訟社会と密接に関連した歴史といえる。
それは各大学や高校のトレーニング施設、トレーナーの配備など様々な分野で一目瞭然で、
日本や世界との差はかなり激しいのが実態だろう。


そんな中、3月14日の日経の記事に
帝京大スポーツ医学が鍛える」
の見出しが登場。

ラグビー部が栄養管理師をスタッフに加え、そこからパフォーマンスが向上。
それに目をつけた大学が、医学部のサポートを開始。
月1回の血液検査、体組成測定を継続しつつ、
けがの予防、治療、リハビリなどを手がけ、他の部にもそのノウハウを共有する。
昨年開設した「スポーツ医科学センター」がそのハブとなっているそうだ。


これ普通に考えると当たり前のことのように考えられるが、
体育会という閉ざされた古い体質だと、
実際に医学部がある大学でも、
自分の大学の医学部とほとんど交流がなかったりするケースもある。
印象としては慶應大学だろうか?
逆に筑波や順天は交流があってほしいところだが、
実際はどうなのだろう?


さて話は戻って帝京大学は今後、
自らの部活だけでなく、プロスポーツや高齢者の健康増進などにも
ここで得た知見を還元していく考えのようだ。


なるほど、2800万人も腰痛持ちがいる国において、
いいビジネスの目の付け所ではないか!
大学発、高齢者向け体幹強化、ファンクショナル・トレーニング講座なんてものが出来るかもしれない。
引っ越し会社や宅配業向けのスタッフにもいいかもしれない。


日本の大学、そしてスポーツ界は、
そろそろ勝った負けたばかりの狭い議論に捉われるのではなく、
もっと産業として発展する事を、
勝った負けたの周りの輪を広げる事で強化にもつながる意識を持つ必要があるのではないだろうか?
そうして初めてトレーナーという職種で食べていけるようになり、
部活にもフルタイムの指導者を養えるようになり、
それが強化に還元されていくのだ。


このアメリカに数十年遅れているものの、
帝京大学の学校としての取り組みは、
高く評価したいし、是非成功してもらいたい。
そして多くの大学に学んで欲しい。
ひょっとすると、Jリーグクラブなども同様なビジネスが展開できるかもしれない。
例えば、
鹿島アントラーズ フィットネス講座
私が地元の人間なら小笠原や曽ヶ端が受けているノウハウを伝授してもらいつつ、
腰痛が治るなら万々歳である。
ちなみに私は肩こりに苦しんでいる。




アメリカの運動部のトレーニングの様子を伺ってみよう
どれだけ差があるか、イメージが湧くはずです。






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今がチャンス! 野球界の指導革命



賛否両論あると思うし勝ち負けの問題ではないのだが、日本で最も影響力のあるスポーツは野球だろう。
「サッカーだ!」という意見もごもっともだが、単純に観客動員数及び市場としての大きさ、選手の年俸など考えて、ここではとりあえず野球として考えてみたい。


しかしそんな野球界が現状最も洗練されているスポーツかといえば、これはサッカーには及ばないだろう。
海外移籍の問題、ドラフトの問題、プロアマの問題、とにかくサッカー界と比べ、前に進まない問題が多い。
ところが、そんな野球界に変われる最大のチャンスが訪れたのではないだろうか?
一つのきっかけは年末12月に発表された、元プロの球児指導の条件緩和だろう。
さらにその前の11月には、元プロから高校の監督になった、阿井英二郎氏の日本ハムヘッドコーチ就任の発表。


プロのアマチュア選手引き抜きから始まった関係の断絶は、約50年の歴史を経て、やっと一人の架け橋がつながった。
しかも阿井氏は一方通行ではなく、両方の世界を経験したものとして、双方向の架け橋がつながった大きな1歩でもある。


もう一つ世の中の流れとして、不幸な体罰問題がある。
野球はオリンピック競技ではない。
そのためJOCが野球界にガミガミ言わない可能性が高いが、逆にそれが厄介だ。
そのためか野球界からめっきりこの問題に関して聞こえてこない。
しかし、ここは黙りを決め込むところではないと思う。
一気に膿を出し切って、野球界として積極的に体罰をなくす方向に取り組むべきだろう。
野球界に限らず、多くの有名指導者の自伝を読めば、昔は鉄拳制裁だったが、あるきっかけを機にやめて、そこから子供達が大きく育つようになった、みたいな話はゴロゴロしている。
野球界に関して言えば、最近では現楽天コーチの大久保氏と西武菊池投手の裁判沙汰などもあった。
下手すると野球こそが今この問題に最も神経を尖らせないとならないのかもしれない。
なぜなら冒頭に書いたように、影響力が大きいから。


こんな流れだからこそ、私は今がチャンスだと思う。
サッカー界に体罰が少ない主な理由として、指導者のライセンス制度が挙げられる。
きちんとした指導者のための指導プログラムが存在している事によって、指導力不足からの無駄な暴力をなくしている。


参照:サッカーで体罰がほぼ淘汰された理由


野球界には、指導者を指導するきちんとしたシステムが存在していない。
今回の元プロ指導条件の緩和の策として、
NPBの研修を受ける
NPBの推薦を受ける
日本学生野球協会の研修を受ける
最後に日本学生野球界に指導者申請をし、審査を受けて初めて元プロが学生を指導する事ができる。
研修内容でまだ合意はできていないようだが、これだけで果たして大丈夫なのだろうか?
今こそチャンスなのではないだろうか?
指導者のための指導方法の確立するチャンスなのではないだろうか?
野球界をより良くするために、日本がより強くなるために。


サッカーのライセンス制度は、ただ技術指導や戦術指導だけで構成されてはいない。
メンタル面、フィジカル面の強化、ケガへの対処法など広い分野の知識を必要とする。
経験則、自分が受けてきた指導の押し付けを防止している。
指導とは、学び続ける事でもあるはずだ。
野球界はサッカーと比較して、体系的に、理論的に指導をまとめてきていない歴史がある。
今こそがその歴史に終わりを告げる時ではないだろうか?
プロ野球界のOB、トレーナーやコーチが学生野球界と集い、一つの指導法のベースを作る事が出来たらどれだけ良いことか?
想像してみてもらいたい、野村克也氏や桑田真澄氏や元PL学園帝京高校常総の名伯楽が集まってまとめた知恵の結集を。
そこに一流トレーナーの知見も加わったら、一体どんなものができるかを。
どれだけワクワクすることか。
影響力の絶大な野球界からこのような流れが生まれれば、それは他のスポーツにも効果を与えるだろう。
それは指導者のレベルアップにつながることは明らかだ。
その結果、日本は自然とスポーツのレベルアップも果たすはずだ。
この責任を野球界の上層部は感じているだろうか?
いや、このチャンスにワクワクしている上層部はいるだろうか?
プロ・アマの雪解け目前の今、世間が指導者の質にやっと目を向けた今、野球界が大きく変われるチャンスが存在している。
その先にWBCなどの世界大会でもっともっと羽ばたけるチャンスがあることと無縁ではない。

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