今がチャンス! 野球界の指導革命



賛否両論あると思うし勝ち負けの問題ではないのだが、日本で最も影響力のあるスポーツは野球だろう。
「サッカーだ!」という意見もごもっともだが、単純に観客動員数及び市場としての大きさ、選手の年俸など考えて、ここではとりあえず野球として考えてみたい。


しかしそんな野球界が現状最も洗練されているスポーツかといえば、これはサッカーには及ばないだろう。
海外移籍の問題、ドラフトの問題、プロアマの問題、とにかくサッカー界と比べ、前に進まない問題が多い。
ところが、そんな野球界に変われる最大のチャンスが訪れたのではないだろうか?
一つのきっかけは年末12月に発表された、元プロの球児指導の条件緩和だろう。
さらにその前の11月には、元プロから高校の監督になった、阿井英二郎氏の日本ハムヘッドコーチ就任の発表。


プロのアマチュア選手引き抜きから始まった関係の断絶は、約50年の歴史を経て、やっと一人の架け橋がつながった。
しかも阿井氏は一方通行ではなく、両方の世界を経験したものとして、双方向の架け橋がつながった大きな1歩でもある。


もう一つ世の中の流れとして、不幸な体罰問題がある。
野球はオリンピック競技ではない。
そのためJOCが野球界にガミガミ言わない可能性が高いが、逆にそれが厄介だ。
そのためか野球界からめっきりこの問題に関して聞こえてこない。
しかし、ここは黙りを決め込むところではないと思う。
一気に膿を出し切って、野球界として積極的に体罰をなくす方向に取り組むべきだろう。
野球界に限らず、多くの有名指導者の自伝を読めば、昔は鉄拳制裁だったが、あるきっかけを機にやめて、そこから子供達が大きく育つようになった、みたいな話はゴロゴロしている。
野球界に関して言えば、最近では現楽天コーチの大久保氏と西武菊池投手の裁判沙汰などもあった。
下手すると野球こそが今この問題に最も神経を尖らせないとならないのかもしれない。
なぜなら冒頭に書いたように、影響力が大きいから。


こんな流れだからこそ、私は今がチャンスだと思う。
サッカー界に体罰が少ない主な理由として、指導者のライセンス制度が挙げられる。
きちんとした指導者のための指導プログラムが存在している事によって、指導力不足からの無駄な暴力をなくしている。


参照:サッカーで体罰がほぼ淘汰された理由


野球界には、指導者を指導するきちんとしたシステムが存在していない。
今回の元プロ指導条件の緩和の策として、
NPBの研修を受ける
NPBの推薦を受ける
日本学生野球協会の研修を受ける
最後に日本学生野球界に指導者申請をし、審査を受けて初めて元プロが学生を指導する事ができる。
研修内容でまだ合意はできていないようだが、これだけで果たして大丈夫なのだろうか?
今こそチャンスなのではないだろうか?
指導者のための指導方法の確立するチャンスなのではないだろうか?
野球界をより良くするために、日本がより強くなるために。


サッカーのライセンス制度は、ただ技術指導や戦術指導だけで構成されてはいない。
メンタル面、フィジカル面の強化、ケガへの対処法など広い分野の知識を必要とする。
経験則、自分が受けてきた指導の押し付けを防止している。
指導とは、学び続ける事でもあるはずだ。
野球界はサッカーと比較して、体系的に、理論的に指導をまとめてきていない歴史がある。
今こそがその歴史に終わりを告げる時ではないだろうか?
プロ野球界のOB、トレーナーやコーチが学生野球界と集い、一つの指導法のベースを作る事が出来たらどれだけ良いことか?
想像してみてもらいたい、野村克也氏や桑田真澄氏や元PL学園帝京高校常総の名伯楽が集まってまとめた知恵の結集を。
そこに一流トレーナーの知見も加わったら、一体どんなものができるかを。
どれだけワクワクすることか。
影響力の絶大な野球界からこのような流れが生まれれば、それは他のスポーツにも効果を与えるだろう。
それは指導者のレベルアップにつながることは明らかだ。
その結果、日本は自然とスポーツのレベルアップも果たすはずだ。
この責任を野球界の上層部は感じているだろうか?
いや、このチャンスにワクワクしている上層部はいるだろうか?
プロ・アマの雪解け目前の今、世間が指導者の質にやっと目を向けた今、野球界が大きく変われるチャンスが存在している。
その先にWBCなどの世界大会でもっともっと羽ばたけるチャンスがあることと無縁ではない。

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NFLスーパーボウルと体罰問題

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