Jリーグ 芝生問題から見えるスタジアムビジネス問題
Jリーグの芝生が問題視されたのは、2008年の味スタ、FC東京のピッチコンディションの低下から端を発した選手のケガ続出とパフォーマンスの低下が最初かもしれない。
当時のFC東京村林社長は声を大にして問題視し、移転問題まで話に上がる始末だった。
それ以前のJリーグ創設期には、元々土や枯れ芝のグラウンドでプレーしていたのが当たり前だったから、ピッチなどという言葉は一般的ですらなかった。
そのためか、ピッチコンディションによるクレームや問題はあまり大きくならなかった記憶がある。
違ったらごめんなさい。
もちろん当事者、現場では様々なやり取りがあったことだろう。
しかしJリーグができたばかりの頃は、芝生があるだけでありがたいという空気感であったことは確かだろう。
しかしそんなJリーグも今年で20周年を迎え、成人となった。
そんな最中、今年の8月またもや味スタでピッチの質について問題が勃発。
芝生の様子はこちら
味の素スタジアム側の芝生問題に対する最大の元凶はこちら
こちらa-nationは毎年行われている訳だから、味スタの芝生問題は毎年直面するものとして認識するのが正しいだろう。
この問題、味の素スタジアムの管理責任を問うだけの簡単な問題ではないと思う。
色々深く考えてみたい。
まず、
芝生の種類
芝生には様々な種類がある。
参照
↓
0からの芝生の庭造りとガーデニング体験談
大きく分けて暖地型と寒地型。
暖地型は夏に育ち、寒さに弱く枯れやすい。
そのため秋から寒地型の芝生を植えていくこと(ウィンターオーバーシーディング)でピッチコンディションを保つ。
寒地型は、年間通して生育されるが、高温多湿に弱く病気になりやすい。
こちらを見るとオーバーシーディングの様子がよくわかる
↓
富山県陸上競技場のオーバーシーディングの経過報告
Jリーグではほぼ暖地型を使用しているチームが多い。
今年のJ1の振り分けは以下の通り
暖地型
グランパス、エスパルス、サガン、Fマリノス、FC東京、フロンターレ、アルディージャ、ジュビロ、ヴィッセル、サンフレッチェ、レイソル、セレッソ、ガンバ、アルビレックス
グラウンドキーパー
芝生は当然のことながら次の試合までに勝手に奇麗に生えてくる訳ではないので、当然芝生を管理する人間が必要である。
日本の多くの管理者=グラウンドキーパーは、外郭団体所属であり、元々はゴルフ場のグリーンキーパーだった人が多いようだ。
さすがに20年もプロサッカーリーグがあると、各スタジアムそれぞれのノウハウやテクニックが身に付いているようだ。
さて、ここでFC東京のグラウンドキーピングに関しての問題はいくつかある。
まず、FC東京のグラウンドキーピングを担当しているのが、オフィスショー。
こちらの代表の池田省治さんはおそらく日本で唯一本場アメリカのプロスポーツのグラウンドキーパー経験者。
彼はメジャーリーグ、NFLでも伝説のグラウンドキーパー、ジョージ・トーマ氏に従事した経験がある。
そんな第一人者が槍玉に上がっているのは実は大局で見た時に日本のスポーツ界にとっては痛手かもしれない。
本場の実情を知る唯一の人間が窮地に立たされている訳だが、そこに焦点をあてるマスコミが日本にはいないのだ。
第一人者でも改善できない理由があるとしたらそれはなんだろう?
トーマ氏の本拠地はカンザス・シティー。
MLBのロイヤルズとNFLのチーフスがプレーする。
Wikipediaによると気候は以下の通り
気候は大陸性で気温の年較差が比較的大きく、冬にはやや乾燥するものの1年を通して安定した降水量がある。ケッペンの気候区分では温暖湿潤気候(Cfa)に属する。夏にはメキシコ湾からの湿った空気がカンザスシティにも届くため蒸し暑く、7月や8月には華氏100度(セルシウス度37.8度)を超えることもある。冬は温暖な日もあれば寒さの厳しい日もあり、1年に数回氷点下10度以下に下がることがある。春や秋は全般的に過ごしやすいが、時々雷雨に見舞われることがある。
温暖湿潤気候という区分だけでみると、実は東京と同じなのである。
だとすると気候の違いはあまり理由にならないかもしれない。
土質だとするともはや私の知識レベルをはるかに超えているが、これはプロのグラウンドキーパーなら当然理解しているだろう。
でないとするとここからが問題だ。
資金の問題
ヨーロッパのサッカースタジアムには、約1300万円する日照機がビッグクラブには備えられているようだ。
こういった器具は同番組の10月13日の放送によると、「日本では見たことがない」そうだ。
次にスタジアムの所有権、もしくは所有者について。
味の素スタジアムは、株式会社東京スタジアムによって運営されており、元々は東京都の第3セクター事業だったという流れがある。
FC東京が所有して、FC東京が自由に使えている訳ではないのだ。
つまりFC東京とヴェルディーの試合以外で当然収益を上げていかなければならないのだ。
参考資料:第18期報告書
そのため、当然陸上競技のトラックもあれば、a-nationも行うのだ。
利用率を上げないといけないのだ。
それでも潤沢に儲かっているという訳でもなさそうだ。
(もし決算書などに詳しい方がいれば補足して頂きたく)
そうなってくると前述の日照機を購入する資金がなかったり、試合で傷んだピッチを回復させる時間が取れなかったり、さらに痛めつけるイベントを合間に入れたりする必要性が生じるのもうなずける。
つまりスタジアムビジネスがきちんと利益体質にならないと、芝生のコンディションも良くならない可能性が高いのだ。
いくらアメリカプロスポーツ仕込みの一流職人があたっても、沢山イベントを入れられたら、立ち向かえるものも立ち向かえられないのかもしれない。
前述のオーバーシーディングも相当な予算を必要とするようだ。
Jリーグレベルの芝生管理には1㎡につき2万円相当かかるそうだ。
競技はかわるが、冬の秩父宮ラグビー場の芝生が一向に改善されないのもうなずけてくる。
残念ながらラグビーがスポーツとしてお金を生み出せていないとしか言いようがない。
おそらく芝生にかけられるだけのお金がまわっていないのだろう。
(一応全面張り替えしたらしいですが... )
それは資金が潤沢にないJリーグクラブにも同じことが言える。
ビッグクラブならいざ知らず、サッカー専用スタジアムのあるクラブならいざ知らず、しかしどちらもないクラブの現状は厳しい。
では代替案はあるのだろうか?
ミランのサンシーロは、人工芝と天然を混ぜるハイブリッド型の試みをしている。
こちらは選手の足裏の感触がどうなのか?などまだ様々な議論の余地があるところだろう。
芝生、ピッチのコンディションがいいとどのような効果があるのだろうか?
ケガを防げる。
サッカーなら足元を見なくてもプレーができる。
転ぶ抵抗感がない。
芝生の匂いが心地よい。
見た目も良い。
色々あるだろう。
しかしその裏でそれをしっかり支えるだけの経済力が必要だ。
香川選手が所属したドルとムンドにも日照機があるようだが、チャンピオンズ・リーグの賞金で購入したそうだ。
そうなるとJリーグのチームがACLで上位進出することなども真剣に考えないと行けない。
また、現状の日本ではクラブが儲かるだけでは足りなくて、スタジアムも儲からなくてはいけない。
今これが日本のスポーツビジネス最大の問題かもしれない。
鶏か卵かの状況だが、強くなって集客力が上がれば施設が良くなるのか?
それとも施設を良くすれば集客力が上がるのか?
中途半端にどちらにも踏み切れない現状が今スポーツ界の最大の問題かもしれない。
味の素スタジアムの芝生問題も一筋縄で解決できないのも見えてくる。
次回は校庭芝生化の側面から何か解決策はないかみてみたい。
このテーマに興味を持たれた方は、ぜひこちらのポッドキャストもお楽しみ下さい。
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関連記事:スタジアムに必要なもの
関連まとめ:行ってないけど楽しんでみた、あの有名なスタジアムツアー!
関連記事:J 2020年基準 スタジアム増改築
参考記事:またしても勃発した味スタの芝問題。J1のスタジアムとしてこれで良いの?
東京都は本当に五輪を招致する気があるのか?
10月21日、朝日新聞朝刊に「五輪招致書類を紛失」と一面で報道される。
前回活動費のうち、8事業18億円の書類がなくなったというのだ。
都スポーツ振興局は「なぜ無くなったかわからない」と答えている。
8事業は、
IOCに提出する計画書作成委託費
IOC評価委員会訪問対応の準備委託費
など高額のものに集中したそうだ。
JOC市原則之専務理事によると
「16年の五輪招致の金の流れは、招致委員会の一部の人間だけが把握していて、事業も業者任せだった」
と話す。
東京都もJOCもずさんなニオイがプンプンしてくる。
20年招致の予算は、前回の様々な批判を受け約半額になるそうだ。
総額にして約75億円だとか。
にも関わらずIOCが5月に発表した五輪招致の支持率は47%止まり。
翌22日、今度は
都「五輪書類見つかった」
の見出しが朝日新聞の朝刊に登場。
担当職員19人が必死に探した結果見つかったらしい。
見つからなかった理由として、
①都庁内の移転の際の混乱
②ファイルに背表紙がなかった
③ファイルに事業名と別タイトルがついていた
大丈夫なのだろうか?
元々東京都の五輪招致はかなり迷走している。
例えばこのポスター。
これはEXILEの宣伝には百も役に立っていると思われるが、五輪招致には一つも役に立っていないと思われる。
はっきり言って、なんだこれは!?
残念ながらダンスは中学の必修科目になったとしても、オリンピックの正式種目ではない。
ボールの1個くらいポスターに入れられないのか?
こんなポスターを貼っていたら支持率が上がらないのも当然だ。
EXILEとオリンピックは何の関係があるのだ?
予算が前回より半分になっているのに、これでいいのか?
そしてさらに
10月25日、石原都知事辞職。
関係者、競技団体幹部からは「勝ち目がないから逃げた」や、「無責任」というコメントが飛び出している。
全員IOC委員への影響に戦々恐々だ。
この調子で東京都はどうやってIOCの信頼を勝ち取るのだろう?
書類は管理できないわ、EXILEの宣伝に加担するわ、リーダーは辞めるわ、真剣に五輪招致をする気があるのだろうか?
やはり理念がはっきりしていないから、見えてこないから支持率が低いのだ。
ロンドン五輪後の調査では66%に浮上したという報道もある。
しかしインフラ整備の古い自民党的な大義名分しか見えてこない今の招致活動と真剣味のなさには指示は集まらないだろう。
必要なのは新しい理念と招致のプロだ。
関連記事:成熟都市の五輪 東京都の五輪開催の意義は!?
関連記事:オリンピック招致とアスリートのセカンドキャリア
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関連記事:廃校 再活用 ― その前に 東京のオリンピック招致について
関連記事:オリンピックとモチベーション
今こそ井原正巳を語る意義
日本代表MF、遠藤保仁選手が代表最多出場をブラジル戦で果たした。
代表監督が、フランス、ブラジル、東欧、日本、そしてイタリアと変わっていく中で、彼だけが変わらず選ばれ続けたことが実力を証明している。
その一方で、この機会に遠藤が抜いた偉大なる選手をもう少し我々は注目してもいいのではないだろうか?
さすがにスポーツ誌やサッカー関連の報道には井原正巳の名前が少しは出てくる。
ついに井原超えだ!遠藤 代表最多123戦も金星で飾る (スポニチ)
遠藤、日本代表最多123試合出場を達成…井原氏を抜き単独1位に (サッカーキング)
しかし、この機会にもっと取り上げられることがどれだけ大切か考えてみたい。
何度かこのブログでも日本のスポーツ界及びマスコミが伝統を大切にしないことを書いてきた。
今回もそれを感じる。
伝統を重んじているならば、こういった切り口の報道があってもいいのではないだろうか?
*井原正巳の振り返り
*「アジアの壁」と言われた男がどれだけ凄かったか?
*井原から遠藤へメッセージ
少数だが発見。
井原正巳「俺の代表記録をヤットに抜かれるなら光栄。中盤で選ばれ続けるのは大変な事」3年ぶり記録更新へ日本代表遠藤保仁にエール (デイリースポーツ)
*井原から見る遠藤の凄さ
*当時の代表に遠藤がいたら?
*プレミア初の日本人DF吉田に井原が期待するもの
などなど今回の遠藤の偉業をより理解させるためには、一度彼が抜いた人物がどれだけのものだったかを紹介する必要があるのではないだろうか?
そしてその偉大なDFが、遠藤をどう見るか?
同じポジションでプレミアリーグでプレーしている代表選手をどう見ているか?
こういった特集があるといいのではないだろうか?
そうすることで、実は多くの会話が生まれるきっかけがある。
想像してみて欲しい。
サッカー好きの親子の会話を。
子ども:「パパ、遠藤が代表で一番多く試合出たんだって」
父親:「そうか、あの井原を抜いたのか〜」
子ども:「井原って凄かったの?」
父親:「凄いよ。アジアの壁って言われてね、代表のキャプテンで、日本が始めてワールドカップへ行った時のキャプテンだったんだよ」
こういう会話が友達同士でも、恋人同士でも、夫婦でも会社でも多くされることで、サッカーというスポーツの楽しさが広がっていく。
この蓄積が関心を増やし、共有知を広げ、最終的にファンを拡大させていく。
そしてその結果、伝統の重みが増していくことで、その競技のレベルが上がっていくのだろう。
ちなみに是非テレビでやって欲しかった企画はこれ
出場試合数で見る日本代表の名選手たち (goal.com)
日本の柔道は一時その流れが出来ていた。
山下、斎藤、古賀、吉田などの金メダリストを輩出し続けることで、男子柔道界はメダルが当たり前という空気感が出来上がっていた。
しかし、その先人達の一人一人にあまりフォーカスしなかったことが仇となったのではないだろうか?
ただ金メダルという重みだけが残り、一人一人の個性や技などが注目されなかったがために、プレッシャーだけが一人残ってしまったかもしれない。
つまり前述のような会話量が少ないがために、ファンの語り部、マスコミの語り部の絶対数が少なかったのだ。
見る目が肥えていないまま時間が流れていったしまったのだ。
ファン層が拡大しなかったのだ。
そう考えると、現在の日本代表が強い理由の一つは、戦術マニアなど含め、語り部が多いことではないだろうか?
しかしそれは日本代表がいつぞやの柔道界と同じく右肩上がりだからだとも言える。
強いから、注目されているから話すことが多いのだ。
しかし、いずれ日本代表が弱くなる日が来るかもしれない。
そんな時でもきっちり多くのファン、語り部がいるためには、伝統は必要だ。
むしろ根付いていなければならない。
それはクラブレベルでも同じだ。
伝統が世代を超えて共有されていないから、あっさり廃部にしたり身売りしてしまうのだ。
重みが足りないのだ。
日本サッカー協会のみならず、スポーツ界全般、そしてマスコミ、ファンにも胸に刻んで欲しいことだ。
歴史を大切にしよう。
今我々がすべきことは、遠藤の実力を賞賛すると共に、井原の偉大さを振り返ることではないだろうか?
関連記事:伝統を大切にするか?Jリーグ?サンフレッチェ?
関連記事:伝統を大切にしない日本のスポーツとスポーツメディア
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関連記事:始球式特集
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横浜FCの問題横断幕
▼横浜FCがダービーで掲げられた横断幕について謝罪、提出者には処分も
(ゲキサカニュース)
横浜FC 天皇杯委員会から“侮辱”横断幕に厳重注意…
(スポニチ)
写真をみてもらえば、わかる人はわかる。
中にはこの処分は大袈裟だとか、ここまで問題視する必要はあるのか?という意見があるようだが、とんでもない。
まったくおススメはしないし安全も保証しないが、この横断幕と同じポーズを近くの米国人か英国人にやってみたらわかる。
ボコボコにされるで済めばまだラッキーかもしれない。
英語版のwikiでの中指を立てる行為の解説をグーグル翻訳で訳してみるといいかもしれない。
(日本語版のwikiはことの次第を伝えきれていないので、参照にしないほうがいいと思う)
NFLのオーナーが審判にこの行為をして、
リーグから約2000万円の罰金をくらった。
もしイギリスでスタジアムでやろうものなら、サポーターの大喧嘩になるだろう。
中指は西洋文化の中で一線を越えたタブーなのだ。
目上の人間、公の場でやらないようにと子どもの頃からきつく教えられる。
人に唾を吐くような行為だ。
いや人や状況によってはそれ以上かもしれない。
私がサッカー協会なら、頼むからFIFAに見つからないでくれと祈るばかりだ。
日本のサポーターは観客席でのゴミ拾いなどで世界中からの評価を得ている。
たかがされどくだらない横断幕でその信頼は一瞬にしてなくしてしまうのはもったいない。
これが流行りだしたらジ・エンド。
もし近くに知り合いの西洋人がいたら、これがどれくらいヤバいのか聞いてみるといいと思う。
サッカーは国際的な競技であり、我々はその国際社会の中に属している。
相手チームに特に英語圏の選手がいたらかなり気分を害しただろう。(例えば名古屋のケネディー)
今回のJリーグの国際感覚と対応は正しいとしか私は言えない。
今後こういった横断幕が姿を表さないように願おう。
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最新号は『2019年スタジアム問題』
日本のスタジアムの諸問題について語っています。
さいたまスタジアムでラグビーが行われない件、2015年にイギリスで開催されるラグビー・ワールドカップでプロラグビーチームのスタジアムが使われない件、芝生の問題など盛りだくさん!
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伝統を大切にするか?Jリーグ?サンフレッチェ?
以前野球界の伝統を大切にしない習慣とそれによって失うものについて書いた。
ブログ - 伝統を大切にしない日本のスポーツとスポーツメディア
間もなくクライマックスシリーズが始まるが、この流れがたいして変わるとも思えないので、さして期待はしないのだが、Jリーグは気になる。
伝統を大切にする海外の事例として、最近話題になったのが、イングランド7部リーグ所属、ナントウィッチ・タウンFC(1884年創設)。
このチーム、60年前にマンチェスター・ユナイテッドと対戦し、0−23で敗れている。
しかし、この試合はマンUの若くして「ミュンヘンの悲劇」の飛行機事故で命を落としてしまう伝説のMF、ダンカン・エドワーズのデビュー戦だったとのこと。
残念ながら雨天中止となってしまったが、9月25日にこのデビュー戦の60周年記念試合をホームのナントウィッチ・タウンFCが催すということで、マンU側が快諾したのである。
もちろんシーズン中に1軍を派遣することはなかったが、予定ではアカデミーのチームが試合に出場する手はずだった。
日本人の感覚ではやり過ぎかもしれないが、ダンカン・エドワーズという存在がイギリス人の中できちんと語り継がれていることの証明ではないだろうか?
これこそが伝統を重んじる精神の表れではないだろうか?
さて、元に戻ってJリーグ。
今年は成人式の20年目を迎えたというのに、特に何かセレモニーのようなものは成されていない。
開幕戦に往年の外人選手を呼ぶとか、20年のMVPを全員呼ぶとか、何かできなかったのだろうか?
20年前のJリーグの開会式を再現するとか?
何か手はなかったのだろうか?
そんな訳で、現在首位を走るのはサンフレッチェ広島。
私は優勝のその瞬間に最低2人の人物の姿を観客席で見たい。
一人はこの人。
- 作者: スチュワートバクスター,Stuart Baxter
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書評:勝つための組織力
Jリーグ1994年ファーストステージ優勝に導いたスコットランド人監督、スチュワート・バクスター。
そしてもう一人はこの人。
日本の元祖GMと呼ばれ、マツダ時代から創設期のサンフレッチェを支えた人物、今西和男。
現在のサンフレッチェの優秀なアカデミーはこの人の手腕によるものとされている。
しかし、一度サッカー界から引退したものの、経営破綻直前のFC岐阜にサッカー界への最後の奉公として務める。
なんとかしてJ2昇格にこぎつけるも、その後も元々かなりひどい経営状態が上向かず、Jリーグのクラブライセンス制による厳しさを増す審査の結果、残念ながら退くことになった。
私が今西和男氏を呼んで欲しい理由として、今回のFC岐阜の債務超過問題でマスコミの報道が今西氏をいかにも使えない経営者風に表現しているケースが多く見られたからだ。
9月29日付け 朝日新聞より
今期の黒字化をライセンス交付の最低条件とされていた岐阜は、地元財界による1億5千万円の支援策などをとりまとめ、8月20日のヒアリングに、今西和男社長らが臨んだ。
しかしFIB(第一審査機関)は「このままでは厳しい」と回答。支援金の入金日などを明確にするだけでなく、今西社長と取締役の服部順一GMは「経営に消極的」と指南し、「後任の有無と来年以降の経営体制」を明らかにするよう求めた。地元の支援をまとめる立場でヒアリングに同席した岐阜県の幹部は、2人を解任しなければ交付は難しいと知事に報告。ヒアリングの4日後には知事から今西社長に顧問への降格が伝えられ、元岐阜市助役の薫田大二郎新社長の就任が決定。服部GMはクラブを離れた。
岐阜の問題は何も今に始まったことではなく、根はかなり深い。
今西社長も、元サンフレッチェの森山氏に懇願されて受けたフシもある。
(詳しくはサッカー批評が取材していた。)
さらに、日本のサッカー界の功労者を「経営に消極的」という表現が当てはまるならば、何か消極的にさせる理由があったのではないだろうか?
私は今西氏の何か忸怩たる想いが伝わってくるのだが、本当のところはどうなのだろう?
サンフレッチェのファンなら、今ならこのクラブの恩人に何か手助けをしたいはずではないのだろうか?
クラブの伝統がきっちり語り継がれているならば、ちゃんと1994年の優勝が心に刻まれているのならば、今西和男という名前は自然と出てくるはずだ。
優勝した際には、敬意を払ってあげて欲しい。
胴上げをしろとは言わない。
でもせめていい席を用意してあげて欲しい。
イチローが大リーグの年間最多安打記録を更新した時を覚えているだろうか?
スタンドに握手をした相手が誰だったか覚えているだろうか?
サンフレッチェとJリーグにはその重みを是非理解して欲しい。
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参考ブログ:今西和男引退
参照: wikipedia 今西和男
関連記事:伝統を大切にしない日本のスポーツとスポーツメディア
関連記事:演出は大事 失礼のない表彰式を望む!
関連記事:始球式特集
関連記事:スポーツ選手 歌う・踊る
WBC監督・コーチ人事
WBCの人事には野球の将来性が全く感じられない。
現場から長い間離れている、しかも監督として成績も残していない大物古株の起用。
コーチ陣も同様。短期決戦、トーナメント経験豊富でもない。
短期決戦に強いのは甲子園の指導者。
アマチュアとプロの連携が乏しい野球界、ここは一人でもアマチュア野球界の指導者を入閣しても良かったのでは?
元常総学院の木内氏、元PL学園の中村氏などいくらでもいるのでは?
確かに今回はNPBとして参加する訳だから現役の高校指導者はきついかもしれないが、こういった人物ならどうだろうか?
選手も喜ぶ可能性は高いかもしれない。
かつての高校球児は彼ら伝説の指導者の指導を体験したいものだろう。
結果プロアマの交流も進むかもしれない。
もっと進めば、球団によってはこういった人物に二軍の指導や育成の担当をするかもしれない。
こういった青写真を描ける人はNPBにはいないのだろうか?
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甲子園最高勝率―PL学園・中村流超エリート育成論 (ベースボール・マガジン社新書)
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関連記事: 書評:渡邊恒雄 メディアと権力
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関連記事:ドラフトから垣間見えるプロ野球の異常さ
沖縄のスポーツビジネスモデルを北海道に置き換えて考えてみる
前回は沖縄県とFC琉球の観光とスポーツを融合させたビジネスモデルに注目してみた。
そこで今回は、このビジネスモデルを北海道に当てはめて考えてみたい。
沖縄のポイントはプロチームのキャンプの誘致。
プロ野球ではどの地域も圧倒する人気名所となっているが、Jリーグにはここ数年でやっと本腰を入れ始めた。
比較的安く、暖かい場所で充実した施設を提供できる利点を存分に活かして県とクラブが協同で誘致及び振興に務める。
では同じビジネスモデルを適用したとして、地理的な性質として真逆の北海道ができることは何だろう?
そう、それは夏場に涼しいことを利用して夏合宿、夏のキャンプを誘致することだろう。
競技としてはラグビー、バスケットボール、バレーボールなど秋から冬にかけて行われるスポーツだろうか。
残念ながらこの点で、サッカーはシーズン中のためにコンサドーレは夏に同じモデルを適用するのは難しい面もあるかもしれない。
しかし実はラグビーでは既にその動きは始まっていたのだ。
北海道バーバリアンズというチームを知っているだろうか?
なんと日本のスポーツ組織として初のNPO法人認証を受けたクラブチームである。
札幌の定山渓温泉に位置し、2007年には遊休化していたNTT東日本の6ヘクタールの土地を取得し、ラグビーパークタウン構想を打ち出している。
さらに2009年にはtoto助成を申請し、クラブハウス、グラウンドの整備費など約4000万円弱を得た。
このtoto助成という制度は、スポーツ振興に還元するために2002年に始まったが、申請手続きなどかなり煩雑で難しく、一般的にはハードルが高いなどの難関のようだが、ここは大学教授などの力も借りてなんとか書類を作成したようだ。
全国クラブ大会の決勝の常連であるこのクラブは、ラグビーの他にクリケット、パークゴルフ、クロスカントリースキーなどの種目にも取り組んでいる。
そして定山渓観光協会と夏合宿の誘致や様々なイベント(大会開催、大会へグラウンド開放、雪合戦など)を幅広く行っている。
北海道、もしくは札幌市はこの流れにもっと乗れないだろうか?
沖縄県のように県の予算を割くことはできないだろうか?
予算をつけてもっと合宿やキャンプを誘致し、練習試合の調整などを行う。
対象はトップリーグのラグビーチームから大学・高校のチーム。
芝生のグラウンドのメンテナンスも自前で行っているから、そのノウハウを活用した講習会などもできるかもしれない。
そして温泉とセットだから観光としても申し分ないだろう。
観光でもお金を落としていってもらえるとしたら、北海道としてはいい事づくめだろう。
もちろん夏にきてもらって気に入ってもらえたなら、そのまま冬にはスキーに再び訪れてもらうという好循環を作れたらさらに良し。
現在バーバリアンズは209名の会員の会費やその他協賛企業のスポンサーそして寄付などで運営を賄っている。
新たな収益源として観光とスポーツを融合させたビジネスチャンスに自治体が気付くだろうか?
彼らの動きを促進させたいものだ。
そしてその先この分野におけるレバンガ北海道やコンサドーレとの協同体制が築ければ、よりスポーツの力が大きくなっていくだろう。
レバンガはバスケチームを札幌に誘致できるかもしれないし、コンサドーレは冬のオフシーズンのトレーニングとしてクロスカントリースキーなどでチームを誘致できるかもしれない。
いずれにせよ、廃部の流れがまた始まった日本のスポーツ界には新たな収益源を作り、経営を安定させることが日本のスポーツ界には急務だ。
沖縄で芽を出し始めた観光と融合したビジネススキームが北の大地でも花開くことを願おう。
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関連記事:沖縄とスポーツビジネス
関連記事:クラブ経営者の育成急務; Jとbjとライセンス制度
関連記事:クラブ経営者の育成急務; Jとbjとライセンス制度 -カズの視点-