伝統を大切にするか?Jリーグ?サンフレッチェ?

以前野球界の伝統を大切にしない習慣とそれによって失うものについて書いた。

ブログ - 伝統を大切にしない日本のスポーツとスポーツメディア


間もなくクライマックスシリーズが始まるが、この流れがたいして変わるとも思えないので、さして期待はしないのだが、Jリーグは気になる。


伝統を大切にする海外の事例として、最近話題になったのが、イングランド7部リーグ所属、ナントウィッチ・タウンFC(1884年創設)。
このチーム、60年前にマンチェスター・ユナイテッドと対戦し、0−23で敗れている。
しかし、この試合はマンUの若くして「ミュンヘンの悲劇」の飛行機事故で命を落としてしまう伝説のMF、ダンカン・エドワーズのデビュー戦だったとのこと。



残念ながら雨天中止となってしまったが、9月25日にこのデビュー戦の60周年記念試合をホームのナントウィッチ・タウンFCが催すということで、マンU側が快諾したのである。
もちろんシーズン中に1軍を派遣することはなかったが、予定ではアカデミーのチームが試合に出場する手はずだった。
日本人の感覚ではやり過ぎかもしれないが、ダンカン・エドワーズという存在がイギリス人の中できちんと語り継がれていることの証明ではないだろうか?
これこそが伝統を重んじる精神の表れではないだろうか?


さて、元に戻ってJリーグ
今年は成人式の20年目を迎えたというのに、特に何かセレモニーのようなものは成されていない。
開幕戦に往年の外人選手を呼ぶとか、20年のMVPを全員呼ぶとか、何かできなかったのだろうか?
20年前のJリーグの開会式を再現するとか?




何か手はなかったのだろうか?


そんな訳で、現在首位を走るのはサンフレッチェ広島
私は優勝のその瞬間に最低2人の人物の姿を観客席で見たい。



一人はこの人。


勝つための組織力―日本サッカーが輝く瞬間(とき)

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書評:勝つための組織力


Jリーグ1994年ファーストステージ優勝に導いたスコットランド人監督、スチュワート・バクスター


そしてもう一人はこの人。




日本の元祖GMと呼ばれ、マツダ時代から創設期のサンフレッチェを支えた人物、今西和男
現在のサンフレッチェの優秀なアカデミーはこの人の手腕によるものとされている。
しかし、一度サッカー界から引退したものの、経営破綻直前のFC岐阜にサッカー界への最後の奉公として務める。
なんとかしてJ2昇格にこぎつけるも、その後も元々かなりひどい経営状態が上向かず、Jリーグクラブライセンス制による厳しさを増す審査の結果、残念ながら退くことになった。


私が今西和男氏を呼んで欲しい理由として、今回のFC岐阜債務超過問題でマスコミの報道が今西氏をいかにも使えない経営者風に表現しているケースが多く見られたからだ。


9月29日付け 朝日新聞より

今期の黒字化をライセンス交付の最低条件とされていた岐阜は、地元財界による1億5千万円の支援策などをとりまとめ、8月20日のヒアリングに、今西和男社長らが臨んだ。
しかしFIB(第一審査機関)は「このままでは厳しい」と回答。支援金の入金日などを明確にするだけでなく、今西社長と取締役の服部順一GMは「経営に消極的」と指南し、「後任の有無と来年以降の経営体制」を明らかにするよう求めた。地元の支援をまとめる立場でヒアリングに同席した岐阜県の幹部は、2人を解任しなければ交付は難しいと知事に報告。ヒアリングの4日後には知事から今西社長に顧問への降格が伝えられ、元岐阜市助役の薫田大二郎新社長の就任が決定。服部GMはクラブを離れた。


岐阜の問題は何も今に始まったことではなく、根はかなり深い。
今西社長も、元サンフレッチェの森山氏に懇願されて受けたフシもある。
(詳しくはサッカー批評が取材していた。)
さらに、日本のサッカー界の功労者を「経営に消極的」という表現が当てはまるならば、何か消極的にさせる理由があったのではないだろうか?
私は今西氏の何か忸怩たる想いが伝わってくるのだが、本当のところはどうなのだろう?
サンフレッチェのファンなら、今ならこのクラブの恩人に何か手助けをしたいはずではないのだろうか?
クラブの伝統がきっちり語り継がれているならば、ちゃんと1994年の優勝が心に刻まれているのならば、今西和男という名前は自然と出てくるはずだ。
優勝した際には、敬意を払ってあげて欲しい。
胴上げをしろとは言わない。
でもせめていい席を用意してあげて欲しい。
イチローが大リーグの年間最多安打記録を更新した時を覚えているだろうか?
スタンドに握手をした相手が誰だったか覚えているだろうか?
サンフレッチェJリーグにはその重みを是非理解して欲しい。




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参考ブログ:今西和男引退
参照: wikipedia 今西和男
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