今こそ井原正巳を語る意義

日本代表MF、遠藤保仁選手が代表最多出場をブラジル戦で果たした。
代表監督が、フランス、ブラジル、東欧、日本、そしてイタリアと変わっていく中で、彼だけが変わらず選ばれ続けたことが実力を証明している。



その一方で、この機会に遠藤が抜いた偉大なる選手をもう少し我々は注目してもいいのではないだろうか?
さすがにスポーツ誌やサッカー関連の報道には井原正巳の名前が少しは出てくる。


ついに井原超えだ!遠藤 代表最多123戦も金星で飾る スポニチ

遠藤、日本代表最多123試合出場を達成…井原氏を抜き単独1位に (サッカーキング


しかし、この機会にもっと取り上げられることがどれだけ大切か考えてみたい。
何度かこのブログでも日本のスポーツ界及びマスコミが伝統を大切にしないことを書いてきた。
今回もそれを感じる。
伝統を重んじているならば、こういった切り口の報道があってもいいのではないだろうか?


井原正巳の振り返り
*「アジアの壁」と言われた男がどれだけ凄かったか?
*井原から遠藤へメッセージ

少数だが発見。
井原正巳「俺の代表記録をヤットに抜かれるなら光栄。中盤で選ばれ続けるのは大変な事」3年ぶり記録更新へ日本代表遠藤保仁にエール (デイリースポーツ)

*井原から見る遠藤の凄さ
*当時の代表に遠藤がいたら?
*プレミア初の日本人DF吉田に井原が期待するもの


などなど今回の遠藤の偉業をより理解させるためには、一度彼が抜いた人物がどれだけのものだったかを紹介する必要があるのではないだろうか?
そしてその偉大なDFが、遠藤をどう見るか?
同じポジションでプレミアリーグでプレーしている代表選手をどう見ているか?
こういった特集があるといいのではないだろうか?
そうすることで、実は多くの会話が生まれるきっかけがある。


想像してみて欲しい。
サッカー好きの親子の会話を。


子ども:「パパ、遠藤が代表で一番多く試合出たんだって」
父親:「そうか、あの井原を抜いたのか〜」
子ども:「井原って凄かったの?」
父親:「凄いよ。アジアの壁って言われてね、代表のキャプテンで、日本が始めてワールドカップへ行った時のキャプテンだったんだよ」


こういう会話が友達同士でも、恋人同士でも、夫婦でも会社でも多くされることで、サッカーというスポーツの楽しさが広がっていく。
この蓄積が関心を増やし、共有知を広げ、最終的にファンを拡大させていく。
そしてその結果、伝統の重みが増していくことで、その競技のレベルが上がっていくのだろう。


ちなみに是非テレビでやって欲しかった企画はこれ

出場試合数で見る日本代表の名選手たち (goal.com)


日本の柔道は一時その流れが出来ていた。
山下、斎藤、古賀、吉田などの金メダリストを輩出し続けることで、男子柔道界はメダルが当たり前という空気感が出来上がっていた。
しかし、その先人達の一人一人にあまりフォーカスしなかったことが仇となったのではないだろうか?
ただ金メダルという重みだけが残り、一人一人の個性や技などが注目されなかったがために、プレッシャーだけが一人残ってしまったかもしれない。
つまり前述のような会話量が少ないがために、ファンの語り部、マスコミの語り部の絶対数が少なかったのだ。
見る目が肥えていないまま時間が流れていったしまったのだ。
ファン層が拡大しなかったのだ。


そう考えると、現在の日本代表が強い理由の一つは、戦術マニアなど含め、語り部が多いことではないだろうか?
しかしそれは日本代表がいつぞやの柔道界と同じく右肩上がりだからだとも言える。
強いから、注目されているから話すことが多いのだ。
しかし、いずれ日本代表が弱くなる日が来るかもしれない。
そんな時でもきっちり多くのファン、語り部がいるためには、伝統は必要だ。
むしろ根付いていなければならない。
それはクラブレベルでも同じだ。
伝統が世代を超えて共有されていないから、あっさり廃部にしたり身売りしてしまうのだ。
重みが足りないのだ。
日本サッカー協会のみならず、スポーツ界全般、そしてマスコミ、ファンにも胸に刻んで欲しいことだ。
歴史を大切にしよう。
今我々がすべきことは、遠藤の実力を賞賛すると共に、井原の偉大さを振り返ることではないだろうか?





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