沖縄のスポーツビジネスモデルを北海道に置き換えて考えてみる
前回は沖縄県とFC琉球の観光とスポーツを融合させたビジネスモデルに注目してみた。
そこで今回は、このビジネスモデルを北海道に当てはめて考えてみたい。
沖縄のポイントはプロチームのキャンプの誘致。
プロ野球ではどの地域も圧倒する人気名所となっているが、Jリーグにはここ数年でやっと本腰を入れ始めた。
比較的安く、暖かい場所で充実した施設を提供できる利点を存分に活かして県とクラブが協同で誘致及び振興に務める。
では同じビジネスモデルを適用したとして、地理的な性質として真逆の北海道ができることは何だろう?
そう、それは夏場に涼しいことを利用して夏合宿、夏のキャンプを誘致することだろう。
競技としてはラグビー、バスケットボール、バレーボールなど秋から冬にかけて行われるスポーツだろうか。
残念ながらこの点で、サッカーはシーズン中のためにコンサドーレは夏に同じモデルを適用するのは難しい面もあるかもしれない。
しかし実はラグビーでは既にその動きは始まっていたのだ。
北海道バーバリアンズというチームを知っているだろうか?
なんと日本のスポーツ組織として初のNPO法人認証を受けたクラブチームである。
札幌の定山渓温泉に位置し、2007年には遊休化していたNTT東日本の6ヘクタールの土地を取得し、ラグビーパークタウン構想を打ち出している。
さらに2009年にはtoto助成を申請し、クラブハウス、グラウンドの整備費など約4000万円弱を得た。
このtoto助成という制度は、スポーツ振興に還元するために2002年に始まったが、申請手続きなどかなり煩雑で難しく、一般的にはハードルが高いなどの難関のようだが、ここは大学教授などの力も借りてなんとか書類を作成したようだ。
全国クラブ大会の決勝の常連であるこのクラブは、ラグビーの他にクリケット、パークゴルフ、クロスカントリースキーなどの種目にも取り組んでいる。
そして定山渓観光協会と夏合宿の誘致や様々なイベント(大会開催、大会へグラウンド開放、雪合戦など)を幅広く行っている。
北海道、もしくは札幌市はこの流れにもっと乗れないだろうか?
沖縄県のように県の予算を割くことはできないだろうか?
予算をつけてもっと合宿やキャンプを誘致し、練習試合の調整などを行う。
対象はトップリーグのラグビーチームから大学・高校のチーム。
芝生のグラウンドのメンテナンスも自前で行っているから、そのノウハウを活用した講習会などもできるかもしれない。
そして温泉とセットだから観光としても申し分ないだろう。
観光でもお金を落としていってもらえるとしたら、北海道としてはいい事づくめだろう。
もちろん夏にきてもらって気に入ってもらえたなら、そのまま冬にはスキーに再び訪れてもらうという好循環を作れたらさらに良し。
現在バーバリアンズは209名の会員の会費やその他協賛企業のスポンサーそして寄付などで運営を賄っている。
新たな収益源として観光とスポーツを融合させたビジネスチャンスに自治体が気付くだろうか?
彼らの動きを促進させたいものだ。
そしてその先この分野におけるレバンガ北海道やコンサドーレとの協同体制が築ければ、よりスポーツの力が大きくなっていくだろう。
レバンガはバスケチームを札幌に誘致できるかもしれないし、コンサドーレは冬のオフシーズンのトレーニングとしてクロスカントリースキーなどでチームを誘致できるかもしれない。
いずれにせよ、廃部の流れがまた始まった日本のスポーツ界には新たな収益源を作り、経営を安定させることが日本のスポーツ界には急務だ。
沖縄で芽を出し始めた観光と融合したビジネススキームが北の大地でも花開くことを願おう。
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