沖縄とスポーツビジネス

沖縄の経済が注目されている。
実質成長率ランキングは東京の1.05%を上回って1.07%で全国1位。
人口減少が著しい国内で唯一2025年までは増加予想の県でもある。
アジアへの物流拠点、基地返還後の一等地が生まれることなどからまだまだ期待されており、最近では外資系のリゾートホテルがどんどん参入している。


ではスポーツビジネスではどうだろうか?
沖縄と言えば実はバスケットボールのメッカ。
bjリーグ琉球ゴールデンキングスは昨年の覇者であり、まだまだ潤沢な資金がある訳ではないが、bjリーグの中でも数少ない黒字モデルの優等生球団である。


詳細はこちら → 書評:琉球ゴールデンキングスの奇跡


また沖縄と言えば、プロ野球の春季キャンプ地としても有名である。
日本のプロ野球は巨人も含め10球団がキャンプを張り、さらに韓国の5球団も加えると、実に15球団も沖縄でキャンプを張った。
この経済効果は約86.5億円と試算され、沖縄県の経済に大きな効果を与えている。


沖縄観光コンベンションビューローが運営している2012年度の詳しいキャンプ情報はこちらへ → プロ野球沖縄キャンプ攻略ガイド


さて、ここでサッカーである。
現在Jリーグのキャンプ地王国は、鹿児島と宮崎の2強が争っている。
そこに沖縄県が2011年あたりから本腰を入れて挑み始めた。
まずサッカーキャンプ誘致事業として4000万の予算をJFLFC琉球へ事業委託して張り付けた。
結果2010年には2チームしかキャンプを張らなかったのが、2012年には5チーム(広島、千葉、鳥栖FC東京、ガ大阪)に増えた。
少しでも様子がわかればと2チームのキャンプレポート動画を加えました。



さらに、韓国の水原、中国の深圳もキャンプを張った。
様々な政治的な問題が発生している中で来年はどうなるか難しい側面もあるかもしれないが、スポーツこそ交流を続けてもらいたいものだ。


少し脇にそれてしまったが、このFC琉球、創設は2003年。
まだまだJリーグ昇格に向けて乗り越えなければならないハードルは少ないが、サッカー不毛の地と言われている沖縄での試みが興味深い。



彼らは観光とスポーツの融合を経営に取り入れようとしている。
その一つがキャンプ誘致事業だ。
Jリーグのアジアを含むクラブにキャンプ地を紹介し、さらには誘致決定後練習試合の調整なども行っているようだ。
観客動員数が約2,000人と言われているFC琉球にとって、経営を成り立たせるためには別の方法で売り上げを立たせる必要がある。
しかし実はチャンスは大きいだろう。
なぜならJリーグのチーム数のパイは野球よりまだまだ大きい。
J1、J2合わせて40チームもある。
そのうち23チームが宮崎でキャンプを張った。
しかし宮崎の宿泊施設などは既に飽和状態のようだ。
それに比べ沖縄は外資系の参入もあるように、まだまだ開拓の余地がある。
実際に昨年7月に返還されたギンバル訓練場の跡地に外資系のリゾートの建設計画の中には、フットボールセンター(サッカー場2面)と野球場、さらにはリハビリセンターまで予定されている。
そして上述の通り県も乗り気だ。
沖縄県文化観光スポーツ部も設置されたおかげで、誘致事業も進み始めた。
さらに自治体も設備投資に前向きだ。
壮大な「琉球アリーナ構想」というものまである。
サッカーだけでなく、ショッピングセンターや老人ホームなど様々な施設を兼ね備えた複合型スタジアムの建設構想だ。
この構想を叶えるためにも、これから如何に宮崎から多くのクラブを引き抜けるかが勝負だろう。
そしてさらには琉球ゴールデンキングスとの連携はもちろん、FC琉球自体のチームのレベルアップも必要だろう。
ちなみに現在FC琉球には、川崎フロンターレで活躍し、日本代表にも選ばれた我那覇選手が所属している。
彼のドーピングにまつわる悲劇、そしてそこから薬物使用の理解への貢献度を是非この一冊で知って下さい。



書評: 争うは本意ならねど ドーピング冤罪を晴らした我那覇和樹と彼を支えた人々の美らゴール



ところでこのキャンプ誘致事業、実はゴルフでも行っているようだ。
韓国のジュニアの誘致にも成功しているとのこと。
キャンプはファンにとってたまらない場所である。
訪れたなら選手を身近にみれるし、シーズンの到来を楽しみにしながら、どんな一年になるかその準備を見て想像を膨らませる。
さらにキャンプ地は暖かいわけだから、そのついでに観光をするというのは自然な発想だ。
沖縄ならではの戦略かもしれないが、ひょっとすると他の地域も同じ手法を使えるかもしれない。
甲府ならやはり武田信玄だろうか?
京都はどうだろう?
温泉地はないだろうか?
こうやって地元の観光名所と結びつけてプロモーションを行うと少しでも地域の活性とチームの観客動員の増加につながらないだろうか?
ひょっとすると小回りの利く、専門の旅行業者にチャンスがあるかもしれない。
いずれにせよ、沖縄のスポーツビジネスの成功が何か突破口を開くことに期待しよう!


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