トニー・ラルーサが選ぶベスト

トニー・ラルーサは今年メジャー・リーグのカージナルズを率いて優勝した名監督。
優勝した数日後電撃の引退表明をし、６７歳の指揮官はワールドシリーズ優勝３回、大リーグ史上の監督勝利数３位、そして両リーグで最優勝監督賞を受賞した数少ない監督としてキャリアを終えた。
選手として１７年、監督として実働３３年の合計５０年の野球人生だ。
ラルーサが残した最大の功績は、相棒の投手コーチ、デーブ・ダンカンと共に現代野球の継投を確立したこととして語られている。
（アスレチックス時代に先発でも鳴らしたデーブ・エッカースリー投手を１イニング限定のクローザーに据え、ワールドシリーズに３年連続進出している。）
その野球の知識と頭脳からチェス・マスターと呼ばれたりされた。
一方でマネーボール戦略肯定派でもなく、人間力を加味しないのは問題だとも述べている。
ちなみに映画のマネーボールは、現実を正確に描写していないこと及び数名にしかフォーカスしていない点で好きではないことも述べている。

そのラルーサ元監督に、ESPNの人気スポーツトーク番組、Mike & Mike in the Morningがおもしろいインタビューをしていたので紹介したい。

＊引退した理由は？

「いくつかの要因が合わさった結果だ。ここ数年まで幸い選手がまだ私に反応してくれていた。しかし段々仕事をすることが難しくなっていたし、昔ほどエンジョイしていなかった。それに一つのチームで１０年もいるとレフレッシュする必要性が生まれる。」
「オファーが来ても、選手がもう反応しないとわかっていたり、燃えるものがなければお金を奪っているだけだ。」

＊今まで率いたチームでベストの選手は？

「アルバート」

＊今まで対戦したチームでベストの選手は？

「リッキー・ヘンダーソン」

MLB史上の盗塁記録保持者であり、殿堂入りした名外野手

＊今まで率いたチームで一番の投手は？

「それはいい質問だ。オークランドではデーブ・スチュワートがいたし、シカゴではラマー・ホヤットがいたけど数年前ピッチング・コーチのデーブ・ダンカンが同じ質問されて、クリス・カーペンターと言っていたから、私もまずクリスで行く。私に聞けば同率で１位と言いたいところだけど、まずはそこからだね。」

＊今まで対戦したチームで一番の投手は？

「ロジャー・クレメンズとはアスレチックスにいる時に信じられない勝負をしてきた。ボストンがすごく強くて、うちも強くて、勝つのが大変だった。その後彼がナショナル・リーグに移籍してきてまた対戦することになった。」

スチュワートvs クレメンズのワールドシリーズでの投げ合い

＊今まで対戦してきた監督でベストは？最も対戦することを楽しみにした監督は？

「対戦が楽しめるかどうかは私には疑問だが、私が最も完成された監督だと思うのは、スパーキー・アンダーソンだ。そして私の年代でのベストの監督はジム・リーランドだと思う。ただ、もっとも存在感があって、誰もが目を離せなくて、なおかつ選手の配置が常に秀逸だったのはビリー・マーティンだ」

交通事故で亡くなったビリー・マーティンを振り返る往年のヤンキース達

ちなみに最後に今まで見た中でのベストチームは？という質問には悩んだ末答えないでいる。

ラルーサは現在次の仕事先を発表していない。
本屋を開きたいと冗談か本当かわからない発言も飛び出ている一方、大学時代に法学博士号を取得している。
メジャーリーグである意味全て成し遂げた男の次の就職先はどこだろう？
親友だと言われているジョー・トーリ元ヤンキース監督は、現在MLBの要職を務めており、ラルーサも適任ではないかと言われたりもしている。

私の願いとしては、DeNA ベイスターズでデーブ・ダンカンと共に最後に一花咲かせてもらいたい。
そしてその３３年分のノウハウをジーコが鹿島に残したように、伝授してもらいたい。
村田のFA移籍金だけでは到底足りないが、DeNAにはそういった部分で背伸びしてでも規格外の夢を与えるような話題を提供してもらいたい。
現状ワーストな球団かもしれないが、ベストな指導者なくしては復活もないだろう。

是非翻訳を期待するラルーサに関する一冊

Three Nights in August

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さて話は少しそれるが、日本の知将も一人今年ユニフォームを脱いだ。
中日の落合監督だ。
彼に同じ質問をしてみたいと思うのは私だけだろうか？
このインタビューはもちろんこの部分を唐突にしたワケではない。
その前にプホルズのことや、後任人事のことなど質問しており、最後にちょっとおもしろい質問を立て続けにする形で聞いている。
にしてもおもしろいのだ。
そして出てくる往年の選手や監督も興味深い。
ヤンキースの名物オーナー故スタインブレナー氏と何度も大げんかし、通算５度も同一チームにクビにされたビリー・マーティンの名前が出てくるところは意外だし興味深い。
リッキー・ヘンダーソンの名前が即座に出てくるところもおもしろい。
過去と現在の一つの物差にラルーサがなっているのだ。
落合博満なら日本の野球界の物差に十分なれるだろう。
こういったインタビューをもたらしてくれるとスポーツファンもありがたいのだが。。。