カズと読むNBAの潮流: ケガを悟られまいとする習慣

明日がファイナル第6戦なので、連日でカズの本を読みながらNBAの現在を読み解いていくシリーズの第4弾!

僕の場合、ケガを悟られまいとする習慣がブラジル時代に染み付いた。
少しでもプレーが悪ければメンバーから外されるし、痛がっていたらマイナスイメージを持たれるだけ。
ケガをしたと気付かれてはいけないし、自分から伝えるなんてもってのほかだ。


ケガをしてしまったら次の人に取って代われるブラジルに於いて、カズが学んだ競争の論理だろう。
しかし今回のNBAファイナルをこの観点から見ると、興味深い展開になっている。

まずは、ノビツキーから。
第1戦で左手の指の負傷をした後、その後の記者会見で包み隠さずケガの詳細を語っている。。。
しかし第4戦の前には高熱を出していたが、これは試合直前まで隠し通した。
結果はご存知の通り。

その第4戦のパフォーマンスを受けて、ヒートのウェイドとジェームズが、ノビツキーの仮病を示唆するかのような言動をとったものだから騒ぎが大きく発展。


一方のウェイドは第5戦で腰を痛め、試合途中ロッカールームに退いている。
元々積極果敢なプレイスタイルからかケガの多い選手であり、痛みを我慢しながらプレーする己のスタイルにプライドがあるのだろう。

ただカズと二人が違う点は、ノビツキーもウェイドも既に地位を確立したスターであること。
ケガを悟られまいとすることは、次の人に取って代われる恐怖感よりも、相手に弱みを知らせない意味合いの方が強いだろう。

ではノビツキーの指の負傷のカミングアウトは何だったのだろう?
自信か?
作戦か?
それともたいしたことなかったのか?

一方のウェイドはカズの言葉の通り、第6戦は間違いなくプレーすると語っている。
「コートに出る以上は、みな条件は同じだ」
ケガなど全く感じさせない発言が主だ。

いずれにせよ、長いシーズンもいよいよ大詰め。
選手たちは心身ともに疲れ果ててはいるものの、精神力だけで走っている部分もあるだろう。
ケガに対してある意味異なるスタンスを取ったスターのコンディションが、どのようにファイナルに影響するかも見所の一つかもしれない。

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