地域密着型スポーツクラブと部活の未来 3(理念編)

前回部活の7Needsを紹介したが、今日はその一つ、「理念」から考えてみたい。

まず確認してみよう。
あなたの部活に理念はあるだろうか?何かの理念の下に活動しているだろうか?
文武両道、スポーツマンシップの習得、チームメイトへの尊重、ゲームへの尊重、相手への尊重等、なにか一つ明確な理念があればあなたの部活もよくなる。
もちろん理念がなければ、それはあなたの学校の教育理念そのものでもいい。
しかし意識していることが大事である。

ここで、幾つかアメリカの部活の理念を見てみよう。
一つはアメリカのエリート大学、プリンストン大学の教育理念と部活動に対する理念。
こちら→Mission Statement 
そしてもう一つは、あのマイケル・ジョーダンを輩出したノース・カロライナ大学の部活理念と部活に属する生徒の行動指針である。
こちら→Student Athlete Handbook

英語でわかりにくいかと思うが、Mission Statementと記されてある通り、活動理念がきちんと宣言されている。
そしてこと細かくかなりの量でしっかり記されていることも見逃せない。(いつか簡単に要約します!)
ここで最も重要なことは、学校の教育理念と部活動の理念がきちんとリンクされていることである。
ここがひじょうに大事だろう。
学生スポーツはその学校の理念を反映していなければならず、その学校の理念に沿って学生に、スポーツを通じた人間教育のSUSTAINABLE(持続可能な)な提供が大事である。
急にリクルートしまくって一年だけ強くて監督が違う学校にいってしまっては意味がない。
アメリカを代表する両校には、きちんとそれが反映されている。
マイケル・ジョーダンがスーパースターになる過程で、ひょっとしたらこの理念も何か役に立っているかもしれない。

もしピンとこないようであれば、学校ではないものの、スポーツつながりということで、日本のスポーツ用品メーカー“ミズノ”の企業理念を参考にするとわかりやすいかもしれない。
  
“より良いスポーツ品とスポーツの振興を通じて社会に貢献する”

さて話をもどして、プリンストンとノース・カロライナ大学の理念で注目したいのは、どちらも勝利至上主義を謳っていないのである。
もちろんプロ選手育成とも書いていない。
勝てば正義、勝てばなんでもいいというわけではないのである。
残念ながら現在のスポーツマスコミは学生の大会でも全国大会の勝者をひたすら美しく書き記すことに終始している。
しかし、よくよく考えてもらいたい。
一体彼らの何パーセントがプロになり競技者として食べていくのだろう?

サッカー日本代表の実質的な候補は毎年ざっと約30名、プロ野球のオールスターは毎年ざっと約50名、バスケットボール日本代表の候補はざっと男女合わせて40名、バレーボールもだいたい同じくらいの数字である。
それに対する競技人口は何十万、多いもので100万単位である。
見てわかる通り、一流になってお金をきちんと稼ぐ確立は、とんでもなく低い。
したがって、スポーツ以外にどんな人物であるかということが、ひじょうに大切になってくる。学生スポーツはプロエリート育成所ではない。

教育理念と部活動の理念が一致し、現場に浸透されれば数多くの現場での不祥事や悲劇は少しは回避されることだろう。
そして何より多くのものを学生にもたらすだろう。
あなたの部活に理念がないようであれば、ぜひ考えてみるといいかもしれない。

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