監督と知性 ー読書と順位の相関関係ー

ふと昔買ったJ2マガジンを読み返してみたら、面白い特集があった。
J2全チーム監督に聞く
「読書の秋、好きな本はこれ」

ちょっと面白いので、最終のJ2順位と並べて記してみた。
数字は勝ち点。


1   ガンバ大阪     87 長谷川監督 特に本は読みません 以前は東野圭吾容疑者Xの献身
2   ヴィッセル神戸     83 安達監督 「Number」東野圭吾
京都サンガFC     70 大木監督「99.9% は仮説」
4  徳島ヴォルティス    67 小林監督「座右の銘
ジェフユナイテッド千葉 66 鈴木監督『これからの「正義」の話をしましょう』
6  V・ファーレン長崎 66  高木監督 「勝負脳の鍛え方」
松本山雅FC     66  反町監督Jリーグサッカー監督 プロフェッショナルの思考法』
コンサドーレ札幌 64  財前監督「ゾーンに入る技術」
栃木SC     63  松本監督「落日燃えゆ」「論語
10 モンテディオ山形  59 奥野監督『「生きる力」の強い子を育てる』「Newton」
11 横浜FC   58 山口監督 野村克也監督の本
12 ファジアーノ岡山  56 影山監督「自由と規律」「深夜特急
13 東京ヴェルディ   56 三浦監督「オシムの言葉
14 アビスパ福岡   56 プシュニク監督レオナルド・ダ・ビンチの伝記
15 水戸ホーリーホック 55 柱谷監督 西村京太郎「十津川警部」シリーズ
16 ギラヴァンツ北九州 49 柱谷監督 「ノルウェイの森
17 愛媛FC   47 石丸監督「モリー先生と火曜日」「奇跡のリンゴ
18 カターレ富山   44 安間監督 クラブハウスにある雑誌
19 ロアッソ熊本 43 池谷監督 「オレたちバブル入行組」
20 ザスパクサツ群馬 40 「Number」
21 FC岐阜 37 辛島監督 「勝つ組織」
22 ガイナーレ鳥取 31 前田監督「きみはなぜ働くか。」


こうみるとツッコミどころ満載である。
まず、東野圭吾を読むと昇格出来そうな気がする。
過去にスイカップアナウンサーと噂になった監督の好きな本はやはり「ノルウェイの森」。
全く読まない監督のチームは弱い(カターレ富山)かと思えば、
優勝した長谷川監督に至っては堂々と読まないことを公言。
ガイナーレの前田監督の悩みはかなり深そうで、
「なぜ働くのか?」すら問うている状況で、浮上のきっかけを掴むのに苦労していることが伺える。
一方業界本、この場合はサッカー本を読んでいる監督の成績は全員イマイチである。
これはリフレッシュしていないことと、指導法にブレを生じさせているのだろうか?


ただ思うのは、やはり指導者たる者言葉の説得力は必要。
言霊というくらいだから、そのベースが知性であって欲しい。
一方で、受け取る側の知性も必要。
ジェフ市原の選手に、サンデル教授の「正義のはなし」を受け入れられるのかどうかはわからない。
ピッチを駆け回っている時に不条理と感じる審判のジャッジにサンデル教授の言葉は響くのだろうか?
アビスパ福岡の選手は、レオナルド・ダ・ビンチが誰だか知っているのだろうか?
ミーティングで大きな齟齬がないことを祈るばかりだ。


そんな中、早稲田大学が体育会の学生に「最低基準単位」を設定したそうだ。
下回れば試合出場禁止になる。
「大学スポーツがどうあるべきかという一石を投じたい」とのこと。
素晴しいことだと思う。
Jリーガーやスポーツ選手のセカンドキャリア問題は深刻。
そして市場の裾野を増やすには、アスリートがその後ビジネスや社会に還元出来るスキルがあったほうが発展する。
さらに国際スポーツ舞台や、各競技団体のレベルも上がる。
そうすれば、強化、普及、ビジネスのサイクルが人材のレベルアップによりまわり始める。
JリーグS級ライセンス制度で、こういった監督の幅や知性を膨らませる授業は含まれているのだろうか?
少なくとも、本は読みませんとはあまり公表して欲しくないものだ。



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