20年目のJ

今年で20周年のJリーグが、サンフレッチェの優勝で幕を閉じた。
成人となった年に、中堅都市の育成型クラブが勝ったことは、
良くも悪くも今のJリーグの現状を表していると思う。


良い面では、昨年の柏に続き、大都市の大型クラブでなくても優勝できるだけの懐の深いリーグになってきたこと。
育成システムがしっかりしているチームが増えていること。
特にサンフレッチェは他チームに先駆けてユースの寮を持ち、
地元の高校と提携するなど一環とした方向性と継続性はリーグに与えた影響は大きいだろう。



さらにクラブライセンス制度などの導入で、つぶれたり消失するクラブがなくなってきていることも、
成人の証だろう。



一方で、サンフレッチェの経営規模はJリーグの中でも平均以下。
トップの浦和との営業収支は約半分。
浦和:約54億円
広島:約27億円

さらに、先のクラブW杯でも後半は持ち直したものの、アルアハリに前半防戦一方の戦いぶりも露呈してしまった。

Jリーグが経済的にも実力的にも頭打ちのようなシグナルとも取れるかもしれない。


しかしJリーグも危険信号を察知していない訳でもない。
今年特に目を引いたのは、海外戦略。
欧州や南米の先駆者達と違うマーケットで競うべく、東南アジアに打って出た。
タイ、ベトナムミャンマーとリーグパートナーシップを結び、ノウハウを提供する代わりに、
放映権などの見返りを期待する。


これはこれで評価するのだが、長期的に見てのプラスはたくさんあるものの、
短期的なこの倦怠感を打破するものでもない。
集客増も見込めるものでもない。


そこでJリーグのなかのトップチームをさらに選出してスーパーリーグを作る構想もあるようだが、
こちらは現状の制度を大幅に変える必要があることなどからすぐには見込めないだろう。


リーグはさらに現状の「春秋制」から欧州リーグに合わせた「秋冬制」への移行も検討しているが、
これでビッグクラブが生まれるのかどうかは疑問な点が多い。
選手の観点から見たら海外移籍しやすくなることは、スターが生まれる可能性が増えることを意味するが、
その恩恵をチームがどれだけ受けたかは現状わかりにくい。
チーム側が選手とうまい契約をした上で、移籍金もしくは育成負担金が見込めることを前提にしない場合、
チームとしてはマイナス面が多いかもしれない。
実際中村俊輔がFマリノスに戻って観客は大幅に増えただろうか?
グッズの売り上げは上昇しただろうか?
あまり中村帰国バブルは聞こえてこない。


ではどうするのがいいのだろう?
現状のJリーグで大きな財布を動かせることが期待できるチームは少ない。
少ないけれども楽天の三木谷氏のようなオーナーもいる。
古典的な方法だが、こういうのはどうだろうか?

ヴィッセルベッカム獲得!



既に一度この男の獲得で大ヤケドしているクラブだけに、

かなり慎重になるだろう。
しかし夢があっていいではないか?
奥さんが来日するだけで日本を元気にしてくれるかもしれない。
ベッカムは実際今移籍先を探しているようだが、残念ながら日本の名前が出てこない。


さすがにベッカムだとお金が掛かりすぎるなら、この男はどうだろう?



こうなったらジーコ鹿島を真似してバラックに全権を託す。
ドイツとのパイプをより深め、Jのチームにゲルマン魂を注入!
既に引退したが、ジーコ同様1年ほどプレーしてもらいたいくらいだ。


さて、夢物語はここまでとして、現実的な路線はJの中でスーパーリーグを作るのではなくて、アジアスーパーリーグを作ることだろう。
アイスホッケーが苦肉の策でそういったリーグを形成している。
日本リーグのチームが多く撤退したことなどが発端の一因)
韓国、中国、オーストラリアのトップ5チームで競うリーグ戦を行う。
実力的にはアメリカも加えたいところだ。
そうなるとより現状の「春秋制」を見直さないといけない。
オーストラリアだけ季節が逆になることもややこしい。
さらにACLとの棲み分けも必要になる。
課題山積み。
この場合、自国リーグには参戦しないのも手かもしれない。
いずれにせよ、常に一つ上のレベル、もしくは常に全力を出し尽くさないとやられてしまうレベルの試合を作りを設けない限り、Jリーグは縦には伸びない。


アジア戦略も結構、ライセンス制度導入などでつぶれないようにすることも結構、
チーム数を増やすことも結構、しかしどれも横への広がりばかりだ。
今必要なのは、横への広がりと基盤作りの上に乗っかる、縦への伸びだろう。
そのためには協力なリーダーシップがリーグ、もしくはどこからのチームから出てこない限り、
ヘンに成熟してしまった今のJリーグでは厳しいだろう。
そのためには、放映権などリーグが一括管理しているような護送船団的運営から脱さないといけないのかもしれない。
しかしそれには相当なリスクが伴う。
何か現実的な策はないだろうか?


スポーツは時代の映し鏡だとすると、Jリーグは成人を迎えて一種の草食系男子化してしまったのかもしれない。
だとすると現状を打破するには肉食系が求められる。
Jリーグに関わっている関係者で肉食系男子は私は三木谷氏しか知らない。
多いにリーグに刺激をしてもらいたいのだが、残念ながらヴィッセルの戦績はちっとも上昇する気配が感じられない。


でもほら、海外進出のチャンスだと言ってるじゃない!!?
しかも英語で!
それってサッカーに置き換えるとACLのことですよ!
縦に伸びるのは上であるべきで、J2ではありません!


実は我ながら今回のお題となるJリーグがどうやったらビッククラブを生み出せるかについてまだ答えがない。
ただ一つ言えることは、ローマは一日にしてならず。
日本のサッカー文化は世界でも例をみないほど恐るべきスピードで進化した。
しかし成人を迎え伸び悩みに直面している。
地理的なものを含み、海外に活路を見出すことはなかなか難しい。
内需拡大
どのように達成するかは、地に足をつけて一歩一歩進むしかないのかもしれない。
一人の人物に託したり、肉食系スーパーオーナーやリーダーの誕生を待つ神頼みもよろしくない。
今後も必死にこの件について考えていきたい。
来年からは、成人となったリーグと共に我々も成熟した大人としてスポーツを支えていく責務があるのだろう。


このテーマに興味を持たれた方は、ぜひこちらのポッドキャストもお楽しみ下さい。

日本のスポーツビジネスの現状と問題点について


日本のスタジアム問題について



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