クラブ経営者の育成急務; Jとbjとライセンス制度 -カズの視点-

先日クラブ経営者の育成急務; Jとbjとライセンス制度について書いたが、今回はそれにカズの視点を紹介したい。



やめないよ (新潮新書)

やめないよ (新潮新書)



彼の著書から抜粋してみたいと思う。

J1とJ2では世間の注目度や経営環境に大きな差がある。
ただ、昇格すれば単純にクラブ経営が楽になるわけでもない。
選手補強に力を入れないといけないし、ハード面にもお金がかかる。
その出費増に見合うだけの収入アップが見込めるとは限らないのが現状だ。
リーグ側に言わせると、努力が足りないということになるんだろう。
でも実態はすごく厳しくて、今の日本経済の状況を考えればなおさら簡単じゃない。

どうやってチーム強化とクラブ経営のバランスをとっていくか。
41歳で現役にこだわっている僕が言うも何だけど、最も大事なのは若手育成だ。
ユースの中高生がトップチームを背負う20代半ばになるまで10年以上。
それだけ長いスパンでやらなければ。

強いビッグクラブが優勝争いをして、そこを倒すために目の色を変える中堅クラブがあって、若手を供給する下部リーグのクラブがある。
そんな格差は悪くないんじゃないかな。


的を得ているとしか言いようがないのだが、これはカズの2008年10月24日時点の言葉で、その後移籍金撤廃などのルールに関する変更等から状況が当時とは同じではない。
またバスケットボールの世界になると、移籍金の概念が基本的にはない。

だが移籍金の問題はさておき、カズの指摘はやはり鋭い。
以前のエントリー、クラブ経営者の育成急務; Jとbjとライセンス制度で述べたように、クラブ経営か?強化か?という視点でbjリーグの成績をみた場合、bjリーグでは結果的にクラブ経営が安定しているチームが上位に進出している確率が高かった。
少し乱暴だが、つまりクラブ経営が安定していればいるほど強化の確率が高くなる。

これは一度Jリーグにもあてはめてみなければならないが、もしこれが定説だとすると、最も安上がりに強化する方法は、カズの指摘の通り「育成」だ。
大物をよそから大金はたいて連れてくる方法は、経営的にはリスクが高い。
経営母体が大きすぎてそのリスクが取れるチームだけが許される戦略だ。
ジャイアンツもしくはNYヤンキースを想像してもらえばわかりやすいだろう。

そうするとライセンス制度に重要項目として必要とされるものに、育成、そしてスカウティングの質というもの追加させなければならないだろう。
安く強化する方法。
それは育成しかり、選手の目利きしかり、コーチングしかり、マニュアル通りにはいかない人間力が問われる分野ばかりだ。
最も難しい分野であることも認識として持たないといけないだろう。

ちなみにこの著書内で紹介される、カズが好印象を持った選手の名前は、本田、内田、長友、香川。
これは、2008年の時点の話である。
すごい話だ。
どれだけのカズの目利きがすごいかは、その選手らの現在の活躍ぶりをみれば明らかだろう。
数年前からこの選手らの活躍を予言していたかのようだ。
経営のポイント(育成が最も効率のいい強化だということ)を理解し、目利きとしてもすごいカズは、将来GMとしても優秀なGMになれるのだろう。




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