社長・溝畑宏の天国と地獄 ~大分トリニータの15年
「オシムの言葉」や「悪者見参」などでしっかりとしたジャーナリストとしての立ち位置を確立した木村さんが次に選んだ題材は、地方プロスポーツチームのあらゆる意味での厳しい現実。
・豪腕知事に対する反発からサポートを渋る地元企業
・お調子者だがものすごい馬力の元官僚社長
・厳しい経済環境
・Jリーグの統治方法の有様
一人のものすごい熱意が奇跡を起こすシンデレラストーリで終わるなら美しかったものの、天皇杯優勝の翌年にJ2降格、さらにチームがJリーグに救済されることになった大分トリニータの15年を追った力作。
思う事は一つに、日本のジャーナリズムの拙さ。大分トリニータについて著者が調べなければ、どれだけのマスコミが間違った報道のまま終始していたことだろうか。
そして、まだまだこの国のスポーツビジネスに関する「プロ」の人材不足。スポーツが市場としてさらに拡大し、成熟してこない限り、大分のケースはまだまだ続くだろう。
溝畑氏のそばに一人でもプロがいれば、今頃大分トリニータの景色は違っていたかもしれない。
プロスポーツチームの経営、運営におけるプロを育てる事が、実は世界に勝つ一番の近道かもしれないと感じさせる一冊。
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