この国は本当に強くなっているのか?

サッカー批評の41号を読んだ。
一番興味深かった記事は、ウズベキスタン戦の考察。
簡単に言うと、状況判断力、相手の戦術への対応・準備の遅れ・なさ、戦術理解度の低さがパフォーマンスの悪さの原因としてあげられている。
特に香川、内田の状況判断力、中村俊輔がサイドから中央へ入ってくるときの対応、そしてキーパーのフィードの意識の低さなどが戦術理解のコンテクストの中で説明されているが、これらはオシム時代に既にクリアもしくは訓練中の内容だったのではないだろうか?
詰まったときに逆サイドへの素早い展開、ポジションチェンジ、キーパーからの展開、すべてオシム時代によく挙げられたトピックが残念ながらまたぶり返してくる。狭いスペースでのボール回しやアウトナンバーでの攻めの練習はこういった課題に取り組むための練習だったのだろう。
そこで思ったのは、監督が岡田氏である以上ここの部分はもう期待できないのだろうということである。崩すための豊富なアイディアは、現役時代どちらかいうと守備の人の岡田氏のDNAには刷り込まれていない。監督になってからの実績も、堅い守備からの速攻が身上で、華麗なサッカーを目指したときの成績は芳しくない。またコメントやインタビューから見える哲学も、志は高いが、ロマンチストではない。親交のある外国人監督もリッピなどであることも、彼の現実路線傾向を物語っている。彼の言葉からは、オランダやファンタジスタやスペインなどはあまり聞こえてこない。
現代サッカーはウルトラハードワークという土台の上に、華麗なテクニックをベースにした崩しが求められている。これは日本が目指す方向性と幸か不幸か合致してしまっているが、コレクティブに崩す方法のアイディアがないと先々行き詰ってしまう。岡田監督からクライフやらアーセナルやらのセリフが聞こえてこないと、その先が厳しいのではないだろうか?それとも彼はW杯進出が決まった時点で辞任する気だろうか?

いずれにせよオシムのノウハウが引き継がれていないのはもったいない。以前ラグビーの日本代表も平尾監督時大金を突っ込み、いろいろなノウハウを修得したものの、次には何も引き継がれることなくむしろマイナスからのスタートとなった。あの体たらくを繰り返す必要はない。