オリンピック招致とアスリートのセカンドキャリア

先日のIOC総会にて韓国の平昌が2018年の冬季オリンピック開催として決定された。
フィギュアスケートの金メダリスト、金妍児選手のスピーチも注目を集めた。


日本が招致に勝てない全ての要素がこのスピーチに詰まっている気がしてならない。
大きく分けて2つある。

一つは平昌で開く意義を明確にアピールできたこと。
金選手ははっきりと、平昌で開催されることにより、冬季スポーツの発展がもたらされると語っている。
オリンピックが開催されることになったら、アスリートがトレーニングのために遠路遥々旅する必要がなくなる。
そして国の冬季オリンピック強化プログラムもちゃんとアピールしている。
スポーツのもたらす効果とスポーツがその後も生活に残っていくことをきちんと伝えている。
それは東京から聞こえてくる、ゼネコン主導の経済効果をもたらすなどというスポーツとは何も関係ない意義とは比べ物にならない。
その点について過去のブログで書いているので、詳細はそちらへ
廃校 再活用 ― その前に 東京のオリンピック招致について

二つ目だが、これはもうすぐにわかることと思うが、英語のレベルとスピーチの上手さである。
これを日本のアスリートができるだろうか?
最後にはなんだかIOCメンバーにまで感謝している。
ご存知のようにオリンピック招致の裏側はかなり生々しい世界である。
人脈、権力抗争、取引、ルールギリギリのアピールが行われていることは紛れもない事実だろう。
そしてここでの公用語はフランス語と英語だ。
この言語でしゃべれない限り、アピールもなにもないのだ。



もし日本が本気で招致合戦に勝とうと思うならば、やはりメダリストにストレートに英語もしくはフランス語で語らせる必要がある。
今春柔道でオリンピック2連覇を果たした谷本歩実とアーチェリーでメダルを2個獲得した山本博弘前大大学院に進学した。
スピードスケートの金メダリストの清水宏保も日大大学院に進学。
もし本気でこの国に五輪を招致する気があるならば、彼らの留学先はアメリカの大学にするべきだろう。
国なのかJOCなのかが留学資金など負担して行かせるべきだろう。
そこでもちろんコーチングなどの勉強もしてもらえれば一層いいのだが、やはり語学力を徹底的に身につけてもらうのがいいだろう。
その上で彼らのセカンドキャリアとして、IOCメンバーや各競技連盟(わかりやすいのはFIFAとかFIBA)にどんどん入り込んでいってもらって、人脈を築き、ロビー活動をどんどんしてもらうべきだろう。

アスリートのセカンドキャリアは、確かにこの国に取って大問題だ。
しかし、全部のアスリートを同じく括りで語るのは現実的ではないと思う。
本当のトップ、トップ中のトップのアスリートにしか担えない役割というものがあるはずだ。
それを明確に理解してこそ、招致というものに勝てるはずだ。
今はどうしても権力にしがみついている力のない人間が、代理店や現場におしつけて頑張ってもらっている印象しか受けない。
もしくはナイーブな清く正しく美しく行えば理解してもらえるという誤解のもとやっている印象でしかない。
これでは魑魅魍魎な世界でアピールなどできないだろう。

今後日本に大きなイベントを次々と呼び込むために、力のある人間の有効活用を含めたセカンドキャリアの議論があってしかるべきだろう。




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