クラブ経営者の育成急務; Jとbjとライセンス制度

Jリーグは2013年よりライセンス制を導入するようだ。
リーグが各クラブの財務体質や施設面等の管理具合を厳しくチェックして、基準を満たさない場合はJFLへ自動降格にする。
このライセンス制度はドイツでスタートして、徐々に世界に広がりつつある。

審査項目は、財務面やスタジアム等の施設面を含む5分野、56項目。
うち44あるA項目は満たさないといけないそうだ。
2009年のJリーグにおいて、8クラブが債務超過だったことを考えると、これは実に厳しい制度となる。
J1で優勝争いしていたチームが突如JFLで戦うこともありえるのだろう。
逆に言えば、それぐらいリーグは大分トリニータの経営危機で危機感を募らせたのだろう。
もちろんこの制度が成功すれば、スタジアムの収容人数だけではなくて、医務室や報道控え室やバリアフリー対策だったりトイレの数まで充実されることになり、より魅力的なリーグへ確実に前進する。

Jリーグがこういった動きを加速している一方、心配なのがbjリーグである。
Jリーグに続いて唯一日本で裾野を広げているこのリーグは、残念ながら経営危機が絶えない。
心配なのは、大分ヒートデビルズの来季参戦の見送りを検討していることである。
このままでは、トリニータに続く失敗となると大分という土地にはプロスポーツが寄りつかなくなる可能性が高い。
bjリーグは、Jリーグチームが存在している都市と同じ場所に存在している率が高く、やはり相乗効果でスポーツを観る文化を養うことが必須だろう。
共倒れが最も避けたいケースだ。
では、どうすればチーム経営が健全に機能し、強化が進むのだろう?
鶏か卵かというこの問いに、今回は熱いブログを紹介したい。

「ビバ!だらだら」 湖国スポーツ
こちらのブログのこの記事に注目! チームの経営安定化と、成績向上はリンクするか?

この記事によると、bjリーグで収支が取れている3チームがプレイオフに進出しているとのこと。
Jリーグも営業利益率が高いクラブほど好成績を残しているそうだ。
そうすると財務基盤が小さいクラブのやるべきことはただ一つ。
目先の勝利にギャンブルせずに、手堅い経営でこつこつと積み上げていくのみ。
そうすると沖縄でも、浜松でも新潟でもなんとか採算が取れることを実証しているチームが現に存在する。
都市規模の大きさと必ずしも比例しない。
残念ながら東京アパッチがそれを物語っている。
(2010年の動画だが、その苦悩が描かれている動画がある。)


しかしこれは、bjリーグ全体にも言えることかもしれない。
拡大路線もいいが、ギャンブルしてチーム数を増やすよりかは、経営基盤を固めたチーム数を増やすことの方が急務かもしれない。
一度チーム経営が失敗した地域でもう一回トライすることはかなりハードルが高いと考えられる。
その地区でのプロスポーツの芽を潰してしまうことになりかねない。
それを避けるためには、Jリーグのようなライセンス制の導入を検討する等、財務体質の向上を真剣に考える必要性がある。
むやみやたらにチームを増やせばいいというものではない。
元々ないよりかは、消滅してしまった傷の方が深いかもしれない。
それを避けるためにも、是非二つのリーグにはノウハウを共有するなり、一つのチームになるなり、様々な工夫を期待したい。
と同時に、全国の大学等を含め、リーグはもちろん、クラブ経営者の育成が日本のスポーツ界には急務である。
様々な地区からプロスポーツチームがなくなる前に、ファンもマスコミもチームも健全経営の大切さに気付いてほしい。


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