ネットへの敵対心 (電子書籍反対とか)

 企業や組織内でのネットへの敵対心は実はかなり激しい。
マーケティング部門に関わっている人ならよくわかるだろう。
ソーシャルやら検索やら第三者配信やら行動ターゲティングやらリッチメディアやらわからないことだらけ。
理解できないから「やめてしまえ」「お金使い過ぎだ」「何やっているかわからない」「テレビCMに使えば」など表層的なレベルの低い圧力をまわりはかけてくる。
その裏側にあるのは知らないものへの恐怖から生まれる、自分たちの縄張りが侵略されるより大きな恐怖があることは間違いないだろう。

しかし、組織内で至らない人がブーブー言っているのもどうかと思うが、こと活字メディアの敵対心の大きさにはかなり心配している。
例えば宝島社。
電子書籍反対という広告までわざわざうっている。
勉強しない社員が文句を言っているのとは次元が違う。

こういった人たちに提言したい事は、ウェブを敵対する前にきちんとインターネットの得意分野と限界を理解する事だろう。
映画「ソーシャルネットワーク」で主人公は言う。リアルの人間関係をウェブに置き換える。
この言葉こそが全ての解答であろう。
雑誌社はインターネット上にコンテンツを持ち込むからへんなことになるのだ。
どんなに流行っても日本全員がipadのようなタブレットを持つ事はない。
ネットに持ち込むべきは、読者との関係なのだ。

人手不足は百も承知。
しかしここは思い切って若い優秀な編集者をソーシャル担当にすべきだろう。
読者との関係をネットに持ち込むのだ。
わかりやすく言うと、宝島社がfacebookTwitterにアカウントを開設してもらいたい。
読者のリクエスト、もっと欲しい情報、喜んでくれた情報、裏話、そういったことで読者とどんどん盛り上がり、発売日が楽しみで楽しみで仕方ない状況をつくりあげる試みをしてみるのがいいと思う。
わざわざコンテンツを全部ネットに載せる必要もないし、棲み分けもややこしいからいっそのことやめてしまったほうがいいだろう。
コンテンツは誌面上でおもしろいものをひたすらつくり続けること。

雑誌の特徴はある趣向に対して深く情報を提供している事。
実はこれはソーシャルととても相性が良い。
ならばそこをよりくすぐる仕掛けはまさにネットで行うべき事だろう。
このまま敵対して、コンテンツを上げるか否かのような議論もなくなるだろう。

インターネットの最大の強みは、企業活動の延長線上にある便利なツールだということ。
意外にもこれはきちんと理解されていない。
そのため敵か味方かという愚かな議論がわき起こるのだろう。
活字メディアはインターネットを自分たちの有利な方向に使い倒すつもりで、もう一度戦略を再考してみてはどうだろう?
そしてネット企業もコンテンツをくれくれと言わないで、読者との関係を盛り上げる試作を考えてみたらどうだろうか?
経済活性化が急務な日本で、くだらない争いをしている場合ではない。