ラグビー日本選手権:サントリー優勝に思う事

1週間遅れながら、録画したラグビー日本選手権の決勝を見る。見所はディフェンスで圧力をかけ、トニー・ブラウンを中心とした試合巧者ぶりで勝利を重ねる三洋に対し、洗練された攻撃重視のサントリーといったところだだろうか。
 
 結果はご存知の通り、自陣奥深くからでもキックに頼らずボールを保持しながら攻め進んだサントリーの勝利で終わった。攻め続けたサントリーはもちろんだが、後半からの追い上げを可能とした三洋のフィットネスと集中力も特筆に値するであろう。
なにより、単純に見ていてスリリングな面白い試合だった。これが何よりものこの試合の価値だろう。
 
 決勝戦というものは、どんな競技でもどんな大会でも(オリンピックでも国内大会でも)大概双方研究尽くし手堅い試合運びとなり、番狂わせはおろか、エキサイティングな試合はなかなかない。
あったとしても途中は拮抗状態ながら最後に凄いドラマが待っている展開かもしれない。
よってたいてい準決勝が見るに値する試合が行われるケースが多い。
その点この試合は両チームとも手堅く試合運びをするよりかは、全力でぶつかりあった印象だ。
こういった試合が続けられていくことで、年々レベルが上がってきているトップリーグにもより多くのファンが試合に足を運ぶだろう。

 さて、この試合を思う存分堪能しながら、日本のラグビーに差すかすかな光を感じながら思い浮かんだのは意外にも映画監督オリバー・ストーンの言葉だ。
「右往左往している人は、いつまで経っても右往左往しているということ」
サントリーと三洋は常にトップリーグの上位に位置し続けている。注目すべきはこの両チームの方針・チームカラーが変わっていないという事だろう。
ぶれがないのだ。今年のサントリーの監督、エディー・ジョーンズは一貫して攻め続ける戦術を活用している。
もっと言えばエディー・ジョーンズサントリーのチームアドバイザーとして加わってからもう10年も経つだろうか。
一方の三洋もNZからの助っ人と強固なディフェンスというカラーでプレーし続けている。
比較してぶれたのは、神戸製鋼であったり、NECではないだろうか。
オーストラリア・NZ・南アと呼ばれる助っ人の一貫性はどこか崩れ、チームカラーもおぼつかなくなっている。
トップリーグのレベルが上がるに連れ、各チームの戦術は似通っている傾向はある。
それでもその中でぶれることなく特徴を出し続け進化する2チームだからこそこういった試合が生まれたのだろう。
この2チームの得た知見、経験、知識が日本代表及び日本全国のチーム(中学・高校・大学含む)に伝播していく事を祈ろう。

もう一つ思った事は、年々解消されているものの、日本人選手のアタック時の判断力と技術レベルからの雑さは、優秀な外人選手と比較するとどうしても目についてしまう。
パスを我慢してブレイクダウンに持ち込むなど、ペナルティーノックオン、ターンオーバー、この辺りが解消されるとジャパンの実力もぐっと上がるのだろう。
ディフェンスのプレッシャーが激しい三洋相手に長時間ボールをつなぎながら攻め続けられるサントリーはそれだけ実力があるということなのだろう。

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