カズと読むNBAの潮流: 背負う重圧と喜び
今日もカズの本を読みながらNBAの現在を読み解いていくシリーズ
- 作者: 三浦知良
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2011/01/13
- メディア: 新書
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キューバではカストロ議長が選手を出迎えたというし、韓国では兵役が免除された。
日本でも選手たちに報いる方法を考えてほしい。
野球だけじゃなく五輪のメダリストや芸術、文化で日本に貢献した人たちに対して。
別にお金じゃなくてもいいけれど、高速道路を造ったりダムを造ったり、そういう税金の使い方だけじゃなくてね。
これはカズのWBC優勝に対して寄せたコメント。
日の丸を背負った選手たちを祝福すると共に、歴史を築いた人たちを大切に、というメッセージが込められているのだろう。
確かに日本のスポーツ界は歴史、過去を大事にしない傾向がある。
ボストンガーデンやステイプルズ・センターのようにバナーがかかっている球場は見たことがないし、往年の名選手の銅像などもお目にしない。
中日の落合監督に至っては、自分で落合記念館を造ってしまう始末。
アメリカならば、球団がスタジアムに彼の偉業を残すような施策をするのが普通だろう。
銅像、ユニフォームやバット等の展示、その他パネルなどなど
松井秀喜も記念館があるが、こちらも本来ならば東京ドーム内にあった方が自然だろうし、ジャイアンツの歴史を物語る上では良いだろう。
それで言うと、現在NBAの歴代得点王である、カリーム・アブドゥール・ジャバーがレイカーズとモメている。
バックスとレイカーズに所属し、数々のタイトルを手にしたこのセンターは、未だに誰も真似できない必殺技スカイフックで次々と得点し、あまりのすごさに一時NCAAはダンク禁止ルールを彼の過剰な!?活躍を防ぐために定めたほど。
カリームはESPNのMike & Mikeに出演し、その不満も述べている。
レイカーズ引退後、アシスタントコーチやコンサルとしてチームに関わってきたカリームだが、最近は事前に相談もなく給料をカットされたり、飛行機でなぜかエコノミーと思われる座席に座らされたり、自分の銅像を建てると言われながらも実現することがなかったり、他のレイカーズのスター(マジック、ジェリー・ウェスト、ジェームズ・ウォージー他)と比較して邪険な扱いを受けてきたことにもの申した形だ。
ファンの中には、それだけ恵まれた人が文句いうな!という論調もあるものの、彼はNBAで最も得点した男である。
NBAチャンピオンに6回も輝いた男である。
比較するわけでもないが、リック・フォックスでもブライアン・ショーではないのだ。
彼は誰も止めることができないスカイフックの使い手でもあり、一時代を築いた圧倒的なスターなのだ。
そのような選手に敬意を払わないと、アメリカでは何かと議論が起きる。
それは歴史やチームの往年の選手をきちんと大事にする精神があるからだ。
大事にするからこそ、スタッツも大切にするのだろう。
日本ではどんな競技でもいいが、往年の選手の足跡が残っている球場はあるだろうか?
カズの軌跡はどこに残るのだろうか?
自分で記念館でもつくらない限り見つからないのだろうか?
倉庫で誇りにかぶっているのだろうか?
長嶋茂雄の足跡はどこに見つけにいけばいいのだろうか?
国や国民、もしくはチームの歴史を一身に背負ってその重圧をはねのけて何かを達成した選手をねぎらう文化、そして後世に残す習慣をこの国のスポーツ(球団)には学んでもらいたい。
そうすれば、世代を超えてスタジアムに足を運ぶことがより一層楽しくなるはずだ。
カズの現役時代を知るお父さんが、子供にそのすごさを伝えるには、やはりそういったコーナーがきちんとスタジアムに存在していると便利だろう。
そうやって伝説は続いていくのだ。
そしてもちろんカリームとレイカーズの例のように、無駄ないざこざで夢を壊すこともなく、ファンのハートをがっちり掴みながら、新たな歴史を作り出していけるだろう。
スポーツ・文化・芸術、何かの分野で日本に貢献した人たちに、勲章とかお金ではなく、残る形で報いる機会が増えることを願う。
カズはその歴史の大切さを知っているのだろう。