オリンピックとモチベーション

格闘界への転身で柔道金メダリストの石井選手が引退するかどうかで騒がれている。
水泳の北島選手も今後の去就がわからないし、幅跳びの池田選手もわからない。
4年に一度しかないオリンピックを目指し、頂点を争い、そこで燃え尽きる。
燃え尽きたのちのモチベーションや目標設定はいつも日本人選手の課題となっている気がしていない。
特にリーグ戦に似たハイレベルな試合が続くコンペティション(試合形式)がない競技、1発トーナメントばかりの競技や1発勝負の競技はなおさらではないだろうか?

サッカー選手は野球選手などは国を代表することを誇りと思うが、毎年ハイレベルな戦いがあり、一つの大会で燃え尽きるという習性がない。
次の試合がすぐにやってくるから、落ち込んだり、センチメンタルな気分に浸っていられない。
柔道や水泳には、いくつもの国際大会があるが、フィギュアのようにグランプリシリーズといったような形(必ずしもいい例とは思わないが...選手が全部の試合に出るわけではないので)で一つの括りとなっているわけではない。

柔道では今後そういった観点からかどうかわからないが、国際大会を年間で束ねてポイント制にするという話がある。
試合に出てポイントを重ねていって年間チャンピオンを競うということだろう。
これはリーグ戦の発想である。日本は反対の姿勢を貫いているようだが、私はこの部分には賛同したほうがいいような気がする。
日本のスポーツ界、特に学校スポーツのすべてはトーナメント方式に依存している。
これはスポーツ界の裾野を広げるための最大の弊害だと思う。
一番強いものだけが、最も公式戦を重ねられるようであれば、狭いパイのみしか伸ばしていないこととなる。
そして拮抗した試合が少ないということは、人々のスポーツを観るという習性を奪うし、育むことにならない。
多くの人間が多くの公式戦を重ねることにより、スポーツ大国が生まれ、そのトップに君臨する人たちのモチベーションも維持されやすくなるだろう。

柔道でいえば、アジアチャンピオンズリーグが毎年あってもいいかもしれない。
水泳もパンパシリーグのようなものやヨーロッパでのポイント制シリーズに北島やハンセンが転戦しながら参加してもいいかもしれない。
そうすることにより、ひょっとしたら北島選手は年間の半分以上を海外で暮らすかもしれない。
いろいろな広がり、メリット・デメリットが生まれてくるだろう。

いずれにせよ、一流アスリートがモチベーションをなくし、若くして引退していく姿ばかりみるのは残念だ。
彼らが長く活躍できるような試合環境を生む努力を、日本の各競技関係者にお願いしたい。